自分は現在タイ料理カフェレストランのオーナーですが、当初は「ドッグカフェ」を開業しようと思っていました。
でも、結局ドッグカフェでの開業はやめました。
それはなぜか?
ドッグカフェで実際に働いてみてわかったことなのですが、店舗を『ドッグカフェ』でカテゴライズしてしまうと、基本的に「犬連れのお客さんしか来店しない」状態になります。
犬以外で魅力のある店舗であれば(例えば、提供する料理がオリジナリティの高い商品である!など)、一般のお客さんも来店する可能性はありますが、そうでない場合は基本的に犬連れのお客様になります。
自分の場合は「犬か料理か」で考えると、“料理”を主軸にしたかったので、『ドッグカフェ』というコンセプトは、メインから外すことにしました。
ある意味ちょっとだけドッグカフェが実現できている感じですね(^-^*)
前置きが長くなりましたが、今回は『自宅飲食店開業を失敗しないための具体的開業手順【全17項目】』の3項目目です。
今回は、飲食店開業準備の過程で、ある意味最も重要な項目ともいえる「コンセプト(コンセプトワーク)」に関して説明していきたいと思います。
恐らく【全17項目】の中でも一番大事な項目だと思いますので、是非お読み頂ければ幸いです。
※これは自宅飲食店開業に限らず、テナント店舗等の開業にも通じる項目です。
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コンセプトとは?
正直、飲食店開業作業は「コンセプトで全てが決まる」といってもいいでしょう。
大事な部分なのでもう一度書いておきます。
飲食店開業はコンセプトで全てが決まります!
業種、業態、料理メニュー、販売価格、インテリア、色使い、BGMなど、あらゆる方向性の指針となります。
つまり、コンセプトは飲食店を開業する上で「最重要項目」といえます。
恐らくこのページを読んで下さっている読者の方は、既になんとなく「どんなお店にしたいか」を想像しているのではないでしょうか?
コンセプトとは、まさに「こんなお店にしたい!」というイメージを具現化したものを指します。
『なんだか難しそう…』と思われた方、安心して下さい。
ヨッシー店長流のコンセプトワークを順番に進めていけば、誰でも「自分だけのコンセプト」を作ることができます!
まずは理想の店舗像から具現化に向けて、順番にコンセプトワークを進めていきましょう♪
ヨッシー店長流のコンセプトワークでは、
『コアコンセプト』
『メインコンセプト』
『サブコンセプト』
の3種類を決めることをオススメしています。
詳しい理由は後述しますが、簡単に書くと「コアコンセプト」が無いと、飲食店を開業できても“継続させる”ことが困難になるためです。
3種類のコンセプトのイメージはこんな感じ↓
コアコンセプトを決める
まず初めに「コアコンセプト」を決めていきましょう。
※決めていくというよりは、”確認する”という方が正しいですね。
コアコンセプトは、文字通り“核”になるコンセプトのことです。
これは、イタリア料理屋をやる、パン屋をやる、といったことではありません。(←それらは後述するサブコンセプト)
コアコンセプトとを一言でいうのならば、
「自分は、どのような人生を歩んでいきたいのか?」
という、ある種その人が持っている“人生観”を指します。(哲学的な要素ともいえるでしょう)
例えば、
- 今後あなたは、どういう人生を歩んでいきたいのか?
- 30年後の自分はどのようになっていたいのか?
- あなたの人生の価値観は何なのか?
- そもそもなぜ飲食店をやりたいのか?
- なぜ飲食業でなくてはならないのか?
などの答えが、コアコンセプトといえます。
一見、『こんな哲学的な話、飲食店の開業に関係ないのでは?』と思われがちですが、実は大いに関係があります。
なぜならコアコンセプトがしっかり明確化されていないと、飲食店が開業できても継続することができなかったり、途中で「店舗精神に反する道」に迷い込んでしまう可能性があるからです。
例えば、誇大広告や食品偽装などでお客さんの信頼を裏切る、反社会勢力と繋がって社会的な損失を作ってしまう、家族を犠牲にした結果家庭崩壊になってしまう、などのことです。
そうならないためにも、まずはコアコンセプトを明文化しておきましょう。
- 出来る限り家族と一緒に人生を歩む。
- ダウン症がある長女のためにも利益追求型経営ではなく、30年以上「継続する店舗」を経営する。
です。
これらのコアコンセプトがあるため、開業当初から一貫した精神で経営が出来ています。
メインコンセプトを決める
コアコンセプトをしっかり文章で書き起こしたら、次は「メインコンセプト」を決めていきましょう。
メインコンセプトとは、「飲食店がお客様にどのような価値を提供するのか?」を表したものです。
商売は「お客様に価値を提供し、その対価としてお金をもらう」という一連の流れで成り立っています。
この「お客様に提供する“価値”とは何なのか?」を考える必要があります。
牛丼の吉野屋を例に出すと、吉野屋の価値は「食事が旨い」「価格が安い」「提供時間が早い」ことです。
つまり吉野屋のメインコンセプトは「旨い、安い、早い」です。
このように自店の「価値」を、まずは考える必要があります。
※お客様が飲食店で提供された価値で得られるものを指します。
例えば前述の吉野家の場合「旨い、安い、早い」のベネフィットは、「お客様の食事以外の昼休憩が長く取れる」などが考えられます。
このようなベネフィットからメインコンセプトを導き出すのも一つの手です。
メインコンセプトの具体例は以下のイメージです。
- 独身のサラリーマンやOLのために、健康を維持するための食事を提供したい。
- 忙しいアラフォー女性のために、リゾート感が味わえる非日常を演出する店舗を経営したい。
- 仕事に疲れた50代男性を癒す「お袋の味」が食べられる飲食店を開業したい。
- 化学調味料や保存料を一切使わない自然食品で、子供たちの体を育む飲食店を経営したい。
- 家族がワイワイ賑やかに楽しい時間が過ごせるセルフ調理のできる飲食店を開業したい。
このメインコンセプトさえしっかり決まってさえいれば、後々飲食店の経営方法に変更があったとしても、ベースは変わらないので「一貫した精神」で経営を続けていくことができます。
ここから『家族連れのお客様が長期に渡って気軽に通える店舗』というメインコンセプトを導き出しました。
実際自分はこのメインコンセプトがあるため、「短期的な利益」ではなく次世代を含めた「長期的な利益」を大事に考え経営に取り組んでいます。
サブコンセプト
メインコンセプトが決まったら、次は「サブコンセプト」を決めていきましょう。
サブコンセプトとは、「コアコンセプトを実現させるための具体的な手段」を指します。
サブコンセプトを考える際に「5W2H」「5W3H」などのビジネスフレームワークが利用されますが、ヨッシー店長は「6W2H」でサブコンセプトを考えてみることをお勧めします。
What(何を)
Why(なぜ)
Who(誰が)
Whom(誰に)
When(いつ)
Where(どこで)
How(どのように)
How much(いくら)
サブコンセプト一覧(6W2H)
What | 商品コンセプト | 何を売るのか?どのような料理?サービス? |
Why | 選定コンセプト | なぜその商品なのか?なぜその商品を売ろうと思ったのか? |
Who | 接客コンセプト | 誰が売るのか?家族で?他人を雇って? |
Whom | 顧客コンセプト | 誰に売るのか?ターゲットとする人はどんな人か? |
When | 時間コンセプト | いつ売るのか?営業時間はどうする? |
Where | 立地コンセプト | どこで売るのか?(自宅飲食店の場合はその立地が適正かを考える) |
How | 販売コンセプト | どのように売るのか?どんな方法で集客するのか? |
How much | 価格コンセプト | いくらで売るのか?価格帯はどれくらいか? |
これらのサブコンセプトは、常にメインコンセプトと繋がっています。
この段階ではまだ「なんとなく」でサブコンセプトを決めてもらって構いません。
※コアコンセプトとメインコンセプトは必ず先に決めておきましょう。
サブコンセプトはお互いに連動している
サブコンセプト同志は並列に繋がっているので、どこかを変更すれば、連動してどこかも変更される場合が多いです。
例えば、
経営方針を修正し、客単価高めのフレンチを1日限定3組の高齢者向けに販売するスタイルに変更した。
という場合は、商品コンセプトは変わらないものの、価格コンセプト・販売コンセプト・顧客コンセプトは連動して変わっています。
このようにサブコンセプトはその都度変わる可能性があるので、まずは「なんとなく」で決めておきましょう。
Why(なぜ)→タイ料理が大好き、競合が少ない
Who(誰が)→自分と家族
Whom(誰に)→周辺に住む30~40代ママさんとその家族
When(いつ)→土日のランチタイムのみ
Where(どこで)→自宅の1階部分
How(どのように)→イートインのフルサービス、集客はインターネット主体
How much(いくら)→平均客単価900円(税抜)
と、当時はこのようになっていました。
特に「Whom」は、最初は30~40代の女性をターゲットにしたことで、「リアルクチコミ」での拡散力が強かったです。この最初の拡散力で、今はその女性たちが家族を連れてくることも多くなり、ターゲット属性がややファミリーにも広がっています。
現在は「When(営業時間)」は若干変更があります。(平日にランチボックス営業をやり始めたので)
業種と業態を決める
サブコンセプトが決まらない場合は、まず「業種と業態」を決めると、全体を決めやすくなります。
- 業種とは→「タイ料理屋」「ラーメン屋」などの「○○屋」を指します。
- 業態とは→「イートインで」「テイクアウトで」「屋台で」などの「売り方」を指します。
日本国内では「無い業種は無い」と言われるほど、多種多様な業種が存在しています。
例:「タイ料理屋」から細分化されて「カオマンガイ専門店」「ガパオライス専門店」「パッタイ専門店」があるなど。
業種は、国内では出尽くしている感もありますが、業態(売り方)は、まだまだアイディア次第で今後も増えていくかもしれません。
少し前に流行った『俺のフレンチ』は、業種はフランス料理と普通ですが、「フランス料理を安価で食べさせるために立ち食いにさせる」という業態(売り方)は目新しかったと思います。
今後はもしかしたらテクノロジーを駆使した業態も出てくるかもしれませんね。
VR映像を見ながら食事したり、MR(複合現実)で注文できるようになったり…(^-^;)
先日取材してきた『焼き肉ライク』も「1人焼き肉」という新しい業態の店舗でした。
焼き肉ライクのレポートはこちらから↓
「焼肉ライクを参考に「1人焼肉のビジネスモデル」を分析してみた!高利益を生み出すその仕組みとは?」
業種は比較的決めやすいと思うので、まずは「何屋」にするかを決め、その後「どのように売っていくか(業態)」を決めましょう。
店名を決める
サブコンセプトが大まかに決まったら、次は「店名」を決めましょう。
店名を決める際は、「ショルダーネーム」も考えておきましょう。
例えば、『海鮮居酒屋 ○○』『トスカーナ料理専門 ○○』『京風おでん ○○』などの実際の店名の前に入る説明ワードです。
カフェガパオの場合は、『タイ料理カフェレストラン カフェガパオ』となっています。
店名を決める際、基本的に経営者が自由に決めて問題はありませんが、いくつか抑えておきたいポイントがあります。
- 抑えておきたいポイント
- わかりやすい
- 覚えやすい
- ありがちな名前にしない
- 難しい漢字を使用しない
- 長い店名でない(できればカナ読みで4文字以内が理想)
- 読んだ時に濁点が入っている
- 店名候補がネット上に存在しない
上記を補足すると、
- カナ読みで4文字以内だと覚えてもらいやすくなります。3文字以内だと尚良いです。
- 店名に濁点が入っていると、インパクトがあり「記憶に残りやすい」です。
- 中でも「店名候補がネット上に存在しない」というのは、インターネットがインフラ化した現代では重要です。
現在はネットで直接店名を調べて来店する人も多いです。そんな時、自店と同じ店名が複数存在していると『どの店舗だろう?』とお客さんは混乱し、来店するのを躊躇することになりかねません。
それを避けるためにも、店名を決める前には一度「店名候補」を検索して、ネット上に存在しているかどうかを確認しておきましょう。
- ガパオはタイ料理にもある。
- 濁点(破裂音)が付いている。
- 『ガパオ』が3文字で覚えやすい。
- ネット上に『カフェガパオ』という店舗が存在していなかった。
などの理由から決めました。
実は『カフェスリア』も候補でしたが、インパクトが薄く、自分も覚えられなかったのでやめました(笑)
※スリアとは、サンスクリット語で太陽を意味する。
コンセプトワークのまとめ
ということで、今回は「コンセプト(コンセプトワーク)」に関して説明してきました。
コンセプトワークの流れをここでざっとおさらいしておきます。
- コアコンセプトを確認する。(自分は、どのような人生を歩んでいきたいのか?)
- メインコンセプトを決める。(飲食店がお客様にどのような価値を提供するのか?)
- サブコンセプトを決める。(「6W2H」で細かく決めていく)
- 業種(○○屋)と業態(売り方)を決める。
- 店名を決める。(ネット環境を意識したネーミングは意外と大事)
最初にも書きましたが、コンセプトワークは飲食店開業で「最重要項目」なので、ここはしっかり時間をかけて考えていくようにしましょう♪
『コンセプトを考えてみたんだけど、これって上手くいくかな?』と不安な方がいましたら、是非ヨッシー店長の「無料コンサルティング」をご活用下さい。(後からお金を取るとかは一切ありません。経験値を積むのが目的なので。。)
今現在も飲食店を経営しているので(普段は調理担当)、返答には多少時間がかかるかもしれないですが、現役オーナーだからこそわかる視点でアドバイスをしています。
無料コンサルティングをご希望の方は、「無料コンサルティングフォーム」よりメール頂ければ幸いです。
是非一緒に明るい飲食業界を作っていきましょう♪(^-^*)
どうもヨッシー店長です。