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テイクアウト営業のメリット・デメリットを現役カフェオーナーがまとめてみた

テイクアウト営業のメリット・デメリット



ヨッシー店長
『テイクアウト』って海外だと通じないんですよね。
どうもヨッシー店長です。

 

ちなみにアメリカだと「to go」、イギリスだと「take-away」って言うのが一般的のようです。

でも自分がタイに行った時に、「Take out OK?」と言ったらわかってくれました(^_^;)

 

さて先日、『今後テイクアウト専門店を開業する予定なのですが、何かアドバイスがあれば教えて頂けないでしょうか?』という内容のお問い合わせを頂きました。

 

お問い合わせの方
パッタイやカオパックンのテイクアウト専門の小さな店を開業しようと考えております。
なぜテイクアウト専門かと言いますと、店が狭いからです。
店舗は自宅を改造する予定ですので家賃はかかりません。
自宅の前は結構人通りが多く、駅もそこそこ近いです。
なぜタイ料理かと言いますと、単に好物だからという理由です。
ヨッシーさんの記事を拝見していると、なかなか経営も大変そうですが、何かアドバイスがあれば教えて頂けないでしょうか。
やめた方が良いというアドバイスでも結構です。

 

上記に関してざっと説明はさせてもらったのですが、後から伝えきれていないことが色々出てきました。

そこで今回は、実際にアドバイスした内容とプラスアルファの部分をこちらの記事でお伝えしたいと思います。

 

テーマは、「テイクアウト営業のメリット・デメリット」です。

 

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。

今回の記事は「個人飲食店の開業講座」の第7回目とさせて頂きます。
※過去の講座はこちらから

 

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テイクアウト営業の定義

テイクアウト営業のメリット・デメリットを語る前に、お問い合わせ内容に合わせて今回用の「テイクアウト営業の定義」をしておきたいと思います。

※テイクアウト営業といっても様々あるので、今回用だと思って下さい。

 

営業スタイル テイクアウト専門
店舗規模 小規模、狭い
店舗建物 自宅(改装予定)
立地 駅近め、人通り多め
家賃 自宅なので無し
運営人数 1人
料理ジャンル タイ料理

※今回教えてもらった情報は以上になります。今回はこれを元にテイクアウト営業のメリット・デメリットをまとめていきたいと思います。

 

テイクアウト営業のメリット

まずはテイクアウト営業のメリットから、まとめてみます。

 

少人数でもできる

テイクアウト営業のやり方にもよりますが、基本的には”少人数”で運営できる場合が多いです。

地元のほか弁(弁当屋)は、概ね「レジ&補佐に1人、厨房で料理を作る人1人」で運営しているところが多いように思います。

ちなみに自分が先日始めた「ランチボックス営業」は、一人でやっています。

※一人でテイクアウト営業をやることにした理由は「平日営業はなぜ弁当屋なのか?飲食業で一番リスクが低いのは一人で全てできるビジネスモデル」を参照下さい。

 

少人数ということは、それだけ人件費を抑えることができます。

現在、この人件費をどれだけ抑えられるかどうかで、飲食業のその後の生存率が決まってくるといっても過言ではないでしょう。

例えば、大人数で運営する店舗の場合、毎日満席になる人気店なら問題ないのですが、来客数にバラつきのある店の場合、お客さんが来店しなくても一定数の従業員は常に必要になり、その分無駄な人件費が発生することになります。

これが多発する店舗は、廃業する確率がかなり高くなります。

それだけ人件費は店舗の運命を左右します。

 

少人数で運営できるということは、その部分でのリスクヘッジをしていることにもつながります。

 

よくスナックママが一人で運営するスナックが長続きするのは、この部分が大きいと思われます。(なんならお客さんも手伝ってくれたりしますからねw)

 

客席スペースが必要ない

テイクアウト営業の場合、店舗営業のように客席はありません。

客席がないということは、テーブルや椅子などの家具、エアコン・照明などの設備投資が必要ないので、その分開業費用は抑えられます。

また、客席スペースが必要ないということは、店舗面積に対する家賃が抑えられ、開業費用も抑えることができます。

 

ちなみにカフェガパオのランチボックス営業は、店舗内の席はありませんが、店舗外にパラソル付きの席を18席程用意しています。(こちらはサービスとして用意しています)

これでも初期費用はたかが知れていて、全部で30万円もかかっていません。

 

家賃を抑えることができる

通常、店舗営業の場合は、厨房より客席スペースの方が広い場合が多いです。

カフェガパオを例にすると、「厨房:客席=1:4」の割合になっています。

 

これがテイクアウト営業の場合は、厨房が8割以上を占めている場合が多く、「厨房:客席=8:1」という店も珍しくありません。

 

これは「厨房の面積が確保できれば、営業できる」ということであり、イコール、「厨房面積分の家賃しかかからない」ということでもあります。

つまり「テイクアウト営業は家賃を抑えることができる」営業スタイル、ということです。

家賃を抑えることができれば、その分毎月の固定費が下がり、廃業リスクを減らすことにもつながります。

 

光熱費等を抑えることができる

家賃と同様に、ほぼ厨房しかない店舗であれば、厨房面積分の光熱費しかかからないので、店舗営業に比べれば光熱費等を抑えることができます。(客席面積分の光熱費はほぼ無し、店によってはエアコンを付けているところもあり)

 

特に「客席面積分の光熱費」は馬鹿になりません。

客席の光熱費というと、主にエアコン使用による「電気代」となりますが、これは春秋と夏冬を比べると2倍近く違ってくる場合もあります。

 

カフェガパオを例に出すと…(電気代)

  • 2014年6月 5214円
  • 2014年8月 12432円
  • 2015年6月 6866円
  • 2015年8月 11519円
  • 2016年6月 6010円
  • 2016年8月 10989円
  • 2017年6月 5635円
  • 2017年8月 11135円

と、毎年の6月と8月を比べてみると、約2倍の電気代の差があります。

 

客席がほぼないテイクアウト営業は、客席の光熱費が浮くのでこの分はメリットといえます。

 

人件費を抑えることができる

テイクアウト営業の場合、店舗営業のようなサービス・片付け・食器洗いなどのオペレーションがありません。

※具体的に言うと「お客さんの席まで行って、注文を聞く」「お客さんの席まで行って料理を提供する」「食べ終わった食器を下げる」「その食器を洗う」「客席の掃除」など。

販売した時点で、それ以上のオペレーションは発生しません。

店舗営業に比べて、仕事は限定的だといえます。

仕事が限定的だということは、その分のスタッフ数もいりません。

つまり、店舗営業に比べると人件費を抑えることになります。

 

個人飲食店を5年間経営し続けてわかった飲食業継続が困難な10の理由」という記事でも書いていますが、飲食業は労働集約型なので、人件費は高くなる傾向があります。

この人件費が抑えられるテイクアウト営業は、経費削減の部分ではメリットがあるといえます。

 

「いかに少ないスタッフ数で経営するか」は、店舗営業・テイクアウト営業関わらず大事なテーマだといえます。

 

 

ということで、以上「テイクアウト営業のメリット」を紹介してきましたが、テイクアウト営業でもデメリットは存在します。

以下、テイクアウト営業のデメリットをまとめてみました。

 

テイクアウト営業のデメリット

商品単価は低い傾向にある

街中にあるお弁当屋で、「1500円」という価格設定を見たことありますか?

自分はありません。

概ね500~800円くらいでしょうか。

1500円というと、せいぜいデパ地下くらいですかね…。

 

テイクアウト営業では、このように「高単価商品」を販売することは難しい傾向にあります。

もちろんやり方によっては「高単価商品のテイクアウト営業」は出来なくないとは思いますが、かなり難しいかと思います。

 

仮に『究極のキャビア丼』という1個3000円の商品があったとします。

1日に何個売れるでしょうか…?

都内の好立地、観光地ならまだしも、地方の住宅街などではとても売れる商品ではないと思われます。

やり方によってはメディアに注目され売れなくないとはいえませんが、恐らくそれは一時の特需でしか売れないことでしょう。

 

もし10年以上継続してテイクアウト営業で運営していくのなら、「地域性にあった価格帯」というのは重要だと思われます。

1500円の弁当が売れない中、750円の弁当が2個売れれば、1500円の弁当1個が売れたのと同じ売り上げになります。

2017年現在、『テイクアウトの値段はこれくらいが妥当』という一定のラインができてしまっている以上、そのラインを超えた価格にするのは、相当マーケティングを意識した販売方法を展開しない限り難しいでしょう。

 

備品代が予想以上にかかる

店舗営業の場合、そのほとんどは皿やカトラリーなどを洗って使いまわすのが基本です。(だから皿洗いという仕事がある)

テイクアウト営業の場合は、テイクアウト容器・カトラリーは持ち帰るので、それらには別途料金がかかります。

 

カフェガパオのランチボックス営業を例にすると…

  • テイクアウト容器 約40円
  • プラスティックスプーン 約6円
  • 割りばし 約3.5円
  • ウェットティッシュ 約3円

計52.5円が、ランチボックス1個につきかかることになります。

この備品代を入れて販売価格を決めなくてはいけません。

 

多くのお客さんは、テイクアウトの価格に”備品代が入っている”ということをあまり理解していません。

ですので、「見た目以上・食べてもらった以上のお得感」が求められます。

ここがしっかりと打ち出せていないと、最初はお試しで買ってもらえるかもしれませんが、その後に繋がらず継続経営が難しくなります。

これはテイクアウト営業に限らず、店舗営業の場合でも同様です。

 

テイクアウト向き商品に限定される可能性がある

ほかほか弁当・スーパーの弁当などに、「揚げ物・焼き魚・炒めた肉・ハンバーグ・根野菜煮物などが多い理由」をご存知でしょうか?

原価が安いなどの理由の他に、「冷めても比較的味が劣化しない」という理由があります。

例えば、レタスやキュウリなどにドレッシングをまぶしたサラダがないのは、生野菜にドレッシングをまぶすと、まぶした瞬間からどんどん水分が抜けだし、お客さんが食べるころには味の薄いビショビショのサラダになってしまうからです。

サラダでなくても、パスタや焼きそば系が少ないのも、作った瞬間から麺が伸びたり、揮発してパサついたりするためです。

また、テイクアウトの場合「買った直後に食べるかどうか」はわからないので、できる限り「味が劣化しないおかず」が望ましいといえます。

その点などから、揚げ物・焼き魚・炒めた肉・ハンバーグ・根野菜煮物などは「時間が経って冷めても比較的美味しいおかず」といえます。

つまり、テイクアウト営業では「テイクアウト向きの商品に限定される可能性がある」ということです。

 

もちろん『いや、うちはすぐに食べてもらうことを想定しているので…』という意見もあるかと思います。

かく言う当店のランチボックス営業も、基本的には「すぐに食べてもらう」ことを想定して販売しています。

ただ、それでもメニューは選定していて、例えば店舗営業では普通に出している「パッタイ(タイ風焼きそば)」も、ランチボックス営業ではおかずの一品にしていません。

なぜならパッタイは米麺なので、「販売前のフードウォーマーで温めている時点で揮発しやすく、さらにランチボックス販売した後はさらに揮発して硬い米麺になってしまう」可能性があるからです。

なのでランチボックス営業では麺系のおかずは出していません。

 

「時間が経っても比較的美味しく食べられるか」は、テイクアウト営業では重要なポイントといえるでしょう。

 

勝負は「味とコスパと利便性」

メリットの部分で「客席スペースが必要ない」と紹介しましたが、これはデメリットの部分でもあります。

 

店舗で食事をする場合、『このメニューが食べたい』『このメニューが美味しいから』という理由だけで来店するとは限りません。

例えば、『雰囲気が良さそうだから』『雨宿りで』『暇つぶしで』『久々に会う友達と話す場として』という理由なども考えられます。

もちろん「美味しいメニューを食べたい」という理由は根底にはあります。

そこにプラスアルファで「店舗利用理由」が加わるイメージです。

 

テイクアウト営業の場合、それらの店舗利用理由はガッツリ抜け落ちます。

『雰囲気が良さそうだから』『雨宿りで』『暇つぶしで』『久々に会う友達と話す場として』全部無理です。

だって客席スペースがないんですから…。

 

そうなると、テイクアウト営業は「味とコスパと利便性」で勝負していかなくてはなりません。

 

  • …美味しいのはもちろんのこと、ボリュームや見た目も大事になってきます。SNS時代を意識するなら写真に映えるような”彩り”も必要になると思われます。
    また「その店でしか味わえないもの」がないと、上記の店舗利用理由のような”武器”がないので苦戦を強いられる可能性があります。
  • コスパ…コストパフォーマンスの略ですが、美味しさやボリュームに対して、価格が”予想以上に安い”と思わせる商品でないといけません。
    さらに「その店でしか味わえないもの」にしておかないと、もっとコスパの良い店ができたらそっちに流れる可能性があります。
  • 利便性…オーダーしてから15分以上待たせる弁当屋も少なくありません。客席スペースがないテイクアウト営業では極力待たせない方が理想的です。
    また地方の場合、駐車スペースがあるかないかも重要になってきます。

 

現在、お弁当屋やスーパーで売っている弁当に対してはこんな感想が見受けられます。

 

上記のような「疑問・不満」が解消できると、「良いテイクアウト営業ができるのではないか?」と自分は考えています。

ちなみにカフェガパオのランチボックス営業は、上記を9割方解消した営業スタイルにしています。

 

テイクアウト営業のメリット・デメリット まとめ

ということで今回の個人飲食店の開業講座は、「テイクアウト営業のメリット・デメリット」を紹介しました。

上記をざっとまとめるとこんな感じ。

 

テイクアウト営業のメリット

 

テイクアウト営業のデメリット

 

まだ自分もテイクアウト営業(ランチボックス営業)を始めたばかりなので、あまり実績がない部分はあります。

ただ、少なくとも今回の「メリット・デメリット」を考えてからテイクアウト営業を始めたので、少しは参考になるかと思います。

今後自分の中に更なるノウハウが溜まってきたら、またこの講座記事で再度テイクアウト営業のメリット・デメリットを追記してみたいと思います。

 

今回の講座内容が参考になれば幸いです。

それではまた次回の講座でお会いしましょう!

 

2020年5月7日追記

テイクアウト営業(ランチボックス営業)を始めてから2年半が経過しました。

この間、様々な経験やノウハウが溜まっていきました。

最近テイクアウト営業が増えていることもあり、

【飲食店応援!】テイクアウト(持ち帰り)の集客に即効性のある3つの方法とは?現役個人飲食店オーナーが解説
 という記事を書きました。
参考になれば幸いです。

 

 

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