前回の「【初心者必見】自宅飲食店の開業前によくある悩み10選!プロが回答!」に引き続き、今回も
「自宅飲食店の開業前の悩み・疑問」
をQ&A方式で回答していきたいと思います。
自分は現在、飲食店を経営しつつ、「自宅飲食店アドバイザー」としても活動していますが、アドバイスする中で、一番多い質問が
「お金」
に関するもの。
開業資金や設備費用、補助金、助成金、売上、原価など、お金に関する質問がとても多いです。
ということで今回は、
「自宅飲食店開業のお金に関するよくある質問とその回答」
を解説したいと思います。
今回も全部で10個の質問に答えていきたいと思います。
【疑問1】自宅飲食店の開業資金はいくらくらい必要ですか?
「飲食店を開業する」というと、テナント店舗で開業するケースが多いと思いますが、この場合の開業資金は「平均1000万円かかる」と言われています。
でも自宅飲食店で開業する場合は、開業資金自体は「100万円以下」で開業することも可能です。
自宅の状況が、
「今後、新築物件として建てる」
「今後、中古の住宅を購入する」
「既に長く住んだ自宅がある」
など、ケースによって開業資金も変わってきますが、仮にリフォーム工事にお金がかかるとしても、300万円以下で開業できるケースも多いです。
【疑問2】実際に黒字になるまでどれくらいの期間がかかりますか?
自宅飲食店の場合、「家賃0円」「家族で運営すれば人件費0円」と3大経費の内2つが0円になるケースも多いので、初月から黒字になる場合もあります。
うちの場合は、開業当初は土日のみの営業で、家族で運営、クチコミ拡大戦略の為、原価率は50%近くにしていましたが、それでも収支はプラスになっていました。
ちなみに開業当初は平日にサラリーマンをやっていたので、飲食業で稼げなくても生活費等は問題はありませんでした。
【疑問3】設備投資にかかる費用の目安は?
業種業態にもよりますが、冷蔵庫、コンロ、調理器具、店内家具などを揃えると30~50万円前後は考えておくとよいでしょう。
小さく始めるなら最初は「家庭用設備」でも問題ありません。
家具なども特にこだわりがなければ、「壊れにくい中古品」で揃えるのもありです。
ある程度儲けが出るようになったら、必要に応じて業務用機器に変えていくのも良いかと思います。
ちなみにうちの開業時にかけた設備投資は、
- 厨房機器・調理器具【25万円】
家庭用冷蔵庫、オーブン付き電子レンジ、しゃもじ・ホイッパーなどの細かい器具など - 食器・カトラリー【3万】
IKEAや100円ショップで皿、グラス、カトラリー類購入 - 家具(テーブル・椅子)【30万円】
テーブルや椅子など(趣味で買っていた家具も使用) - 看板・メニュー表【2万円】
などです。
現在は業務用の食洗機がありますが、来店数がまだ少なかった時は全て手洗いで洗っていました。
ちなみに業務用食洗機は、「スタッフの疲労軽減」や「熱湯消毒」の観点からも、あると非常に便利な機器です。
【疑問4】保健所の許可にかかる費用は?
営業許可の申請料は地域によって異なりますが、1万円~2万円程度が一般的です。
その他、簡易的な設備改善費がかかる場合もあります。
ちなみに一度許可を取った後、5年後くらいに「更新」があるのですが、その際には「更新料」がかかります。
うちは最近だと2022年に更新があったのですが、更新料は23000円でした。
更新頻度や更新料金は自治体によって違いがあると思うので、詳細は市町村のホームページをチェックしてみましょう。
【疑問5】開業にあたって融資を受けることはできますか?
できます。日本政策金融公庫などでは小規模事業者向け融資制度があります。
事業計画書の提出が求められますが、無担保・無保証で借りられる場合もあります。
地域によっては、日本政策金融公庫の金利がさらに低く抑える制度もあったりします。
開業融資ではないですが、2025年に自分が日本政策金融公庫から融資をしてもらった際は、通常金利1.4%なのですが、0.4%分を柏市が負担してくれたので、実質金利1%になりました。
【疑問6】補助金や助成金は使えますか?
自治体によっては創業支援や小規模事業者向けの補助金があります。
タイミングによっては国の「持続化補助金」なども利用可能です。
各自治体によって基準なども違うので、開業する地域の市町村のホームページを確認しましょう。
ちなみに補助金は多く存在しているのですが、飲食店開業のための助成金はほぼ皆無なので、あまり期待しない方が良いでしょう。
【疑問7】自宅飲食店の毎月の固定費はどれくらい?
自宅飲食店は自宅なので「家賃は0円」、家族のみで運営していれば「人件費も0円」、
その他の固定費としては…
- 光熱費の固定契約料:電気、ガス、水道などの固定料金
- 通信費、サブスクリプション:携帯電話代、BGMの使用料など
- 固定資産税:店舗を所有している場合
- 支払利息(借入していれば):借入金の利息
- リース料(リース契約していれば):厨房機器や什器のリース料
【疑問8】食材の仕入れにかかるコストは?
メニューや提供数によりますが、おおむね売上の30~40%が目安となります。
また、実際の食材費以外の隠れコストとして「時間的コスト」「手数料コスト」なども発生します。
- 時間的コスト:自分で食材を仕入れに行く際に使う時間が隠れコストになります。車を使う場合は、ガソリン代や車検費用等も含まれます。
- 手数料コスト:業者に頼んで食材を持ってきてもらう場合、人件費や運搬費が隠れコストになります。仕入れ額の一部にはこれらの隠れコストが上乗せされています。
コストを抑える方法としては、
- 直接農家から買う
- 業務用のスーパーを使う
- まとめ買いで単価を下げる
- スーパーなどで割引している時に買い溜める
などがあります。
個人的には上記をバランスよく利用しつつ、常に価格調査をする癖をつけておくのがおすすめです。
例えば「この商品、あの業者から仕入れていたけど、業務スーパーの方が安いな」「この食材、冷凍できるから割引している今買い溜めておこう」などはよくあることです。
【疑問9】メニューの価格設定はどう決めれば利益が出ますか?
よく飲食店開業の解説書籍などでは「原価率30%以下を意識しましょう」と書かれていることも多いですが、これはあくまでも目安の数値でしかありません。
業種業態によっても違いますし、地域性などによっても違いが出てきます。
特に自宅飲食店で家族経営ならば「家賃と人件費が無い」場合も多いので、原価率を上げることもできます。
※ちなみに原価率を上げられれば、お客さんから見た「コスパの良いメニュー」を作ることもできます。
また「そのお店に来なければ食べられないもの」であれば、販売価格は上げてもいいですし、逆に「集客目的」のメニューであれば多少原価は上がったとしても、それを「広告費」として考えるのもありです。
開業前に販売価格に迷ったら、競合店の販売価格を参考にして、仮の販売価格を考えてみるのも良いと思います。
ちなみに大手チェーン店の価格を参考にしてはダメです。大手は大量仕入れで原価を安くできるので、個人店にはマネができません。
【原価率30%はウソ】自宅飲食店経営で大事な経費の比率は…
【疑問10】自宅飲食店で開業した場合、売上の何%が利益になりますか?
一般的な飲食店は「売上の10%の利益が出れば良い」と言われていますが、
自宅飲食店の場合は、
売上の30~50%が利益
になることもあります。
利益が高い理由は、もし自宅飲食店を家族で経営していた場合、
飲食店経営の3大コスト(FLRコスト)のうち
「L(人件費)」「R(家賃)」が無い
ため、高利益率を実現しやすいのです。
もし「ワンオペで月に100万円の売上があって利益率50%なら、月収は50万円」ということになります。
まあ数字上は高利益率とはなりますが、実際は「予期せぬ急な出費」などもあるので(例えば、製氷機が壊れた、エアコンが壊れたなど色々起ります)、利益率はもう少し下がることになるでしょう。
また、店舗ビジネスである以上、「1日の売上上限」はある程度決まってきます。
そうなると、高利益率とはいえ「これ以上は稼げないライン」が見えてくるでしょう。
まとめ
ということで、今回は「自宅飲食店開業のお金に関するよくある質問」をQ&A方式で回答しました。
飲食店を開業するということは、「ビジネスを行う」と同義です。
ビジネスを行うということは、「お金の知識は必須」です。
お金の知識は、開業前にも必要ですが、開業後も常に意識して学んでいく必要があります。
特に昨今は、インフレで「値上がりの頻度が増している」ので、常に原価計算や利益率計算などが必要になってきています。
「【潰れる理由集計】飲食店経営YouTuberが語る閉店する共通項TOP10」という記事でも紹介しましたが、やはり潰れていく飲食店は「お金の数字管理ができていない」場合が多いです。
自宅飲食店は潰れにくいビジネスモデルだとは思いますが、やはり「どんぶり勘定」は経営に支障が出るので、経理管理は開業前から意識するようにしましょう。
今後もこのブログでは、自宅飲食店のお金に関する情報も発信していきます。
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どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
どうもヨッシー店長です。