例え利益が出なかったとしても「美味しかったです♪」 その一言で飲食店を続けることができています。
どうもヨッシー店長です。
前々回、前回
第1回「飲食店経営はハイリスクなのか!? 10の経営デメリットを紹介」、
第2回「個人飲食店を5年間経営し続けてわかった飲食業継続が困難な10の理由」
の講座では、飲食店経営のリスクとそのデメリットを紹介しました。
今回はそれとは逆の「飲食店経営の魅力とメリット」を紹介します。
そして、ネット時代全盛の今だからこその「飲食店経営の優位点」を紹介したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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前2回の講座では、これでもか!というくらいに「飲食店経営のリスクとデメリット」を紹介してきましたが、飲食店経営には良い面もあります。
今回はその良い面を「魅力」と「メリット」に分けて紹介したいと思います。
飲食店経営の魅力
意思決定が自由自在
個人飲食店を経営する場合、全ての意思決定を自分自身で行うことができます。
いわゆる「一国一城の主」になることができます。
やりたくない仕事を断ることもできますし、自分で企画・開発・運営が自由にできます。
多分サラリーマンをやっている人には、これが如何に大きな事かがわかると思います。(意思決定できる幹部でない限り)
サラリーマンと違って、頑張れば頑張った分だけ自分の報酬になる点も大きな魅力ですね。
それは経済的な面だけでなく、自己実現の達成の面でも。
経営者になるわけですから、「やらされている仕事」ではなくなります。
自分の場合は、この「やらされている仕事」でなくなったことで、物凄いストレスフリーとなりました。
精神的にストレスが解放されたことによって、身体も健康体になっていきました(^-^*)
自己表現ができる
飲食業はそのジャンルが多彩で、さらにそこから細分化されていくので、自分の個性が出しやすい業種だといえます。
例えばうちの店の場合は、「タイ料理を提供する飲食店だが、カフェの雰囲気を持ち合わせる飲食店」となっています。
他にも、絵画ギャラリーがメインだけどキーマカレーにこだわっているカフェとか、店内に何匹もフクロウがいるメキシコ料理のケソフンディードにこだわっている飲食店とか、ほぼ無限に個性が出せます。
店内の内装、BGM、接客方法、料理提供方法などでも他店とは違う雰囲気を出せます。
つまり、仮に近所に同じ料理ジャンルの飲食店があったとしても、細分化する個性によっていくらでも“違う店”にすることが可能です。
また、これまで飲食業界で仕事をしてきた人にとっては、絶好の”力試しの場”になるともいえるでしょう。これも自己表現の一つだといえます。
ただし、個人飲食店を経営する場合、料理人ではダメです。経営者にならないといけません。
※こちらの話は今回のテーマと逸れますので、今後の講座にて紹介していきたいと思います。
大手チェーン店と対等に勝負ができる
個人飲食店は、「そこにしかない何か」をしっかり打ち出せていければ、大手飲食チェーン店とも対等に勝負ができます。
※「そこにしかない何か」とは、その店の個性という意味です。
例えば仮に自分の店がイタリア料理をやっていたとします。
そして近所にサイゼリア(大手イタリア料理チェーン店)ができたとします。
自店に「そこにしかない何か」を持っている店であれば、同じ料理ジャンルの大手飲食チェーン店ができたからといって、お客さんを奪われることはありません。
厳密には多少は影響があるかもしれませんが、それでも「そこにしかない何か」を持っていればいずれお客さんは戻ってくるし、帰ってこないお客さんは利用動機や価格面で大手飲食チェーン店に移っただけのことです。(自店には合わないお客さんだったということ)
もしも大幅にお客さんが奪われたと感じたら、自店には「そこにしかない何か」が無い店といえます。
※ちなみにこの場合は、大手飲食チェーン店とは違う視点(利用動機や価格面以外)で勝負しないといけません。
カフェガパオの場合は、仮に近所にタイ料理の大手飲食チェーン店、もしくはタイ料理の個人店ができたとしても対立構造にはならない自信があります。
それは前述しているように「そこにしかない何か」を数多く持っているからです。
※「そこにしかない何か」に関しては、今後の講座で紹介していければと思っています。
自分でオリジナル商品の開発・販売ができる
自店の料理ジャンルがある程度決まっていたとしても、そこから「自分が考えたオリジナル商品が開発でき、さらに実際に販売できる」ということは、飲食業の大きな魅力だといえます。
大きな会社だと開発部門と販売部門は分かれている場合が多いですが、個人飲食店の場合は全て一括でできます。
それ故フットワークが軽いので、「今これが流行っているから明日から販売してみよう!」とスピーディに対応することが可能です。
大手はどうしてもフットワークが重いので、個人飲食店のようにスピーディーに対応することはできません。
しかもそれらの評価はすぐに現場で実感することができるので、販売拡大、販売中止の判断もすぐにできます。
また、オリジナルの商品で、自店の個性を演出することが可能です。
つまり「そこにしかない何か」を自ら作れるということです。
飲食店経営のメリット
現金商売であること
飲食業の場合、売上金のほぼ全てが「現金回収」となります。
大手飲食チェーン店はクレジットカード払いの売掛になる場合も多いですが、個人飲食店の場合はそのほとんどが現金でのやり取りができます。
現金でやり取りしているのでキャッシュフロー問題も比較的起こりづらいといえます。
また、仮に売掛金が発生したとしても、そのほとんどがクレジット会社経由のため、現金未回収のリスクが低いといえます。
ちなみにカフェガパオでは、週2回営業でクレジットカードの手数料もバカにならないので、あえてクレジットカード払いは導入していません。
やはり売掛にするよりも現金で売上管理をした方が、単純明快で楽です。
資金繰りがしやすい
飲食業の場合、「売上は現金入金、経費は後払い」がほとんどなので、資金繰りがしやすい業態といえます。
仕入れに対する支払いの多くは、買掛金による後払いが多いです。
例えば仕入れ業者から食材を仕入れる場合、まずは食材のみをもらい、その後月末などに後払いする形が一般的です。
ネットショップなどから仕入れをしても同様です。
元手が減らないまま商売ができるので、商売はしやすいといえます。
資金繰りに対する苦労は「相対的に少ない」といえるでしょう。
ニーズがなくならない
人間は食べなければ生きていけません。ということは必ず食事をします。
最近は内食も増えていますが、それでも外食産業がなくなるということはないでしょう。
「今日は疲れてご飯は作りたくないから外で済まそう」
「たまには家族みんなで外で食事をしよう」
「友達とゆっくり話がしたいからお気に入りのカフェにいこう」
など理由は様々ですが、外食することは無くならないといえます。
仮にロボット全盛の世界になったとしても、僕らが人間である以上、「人間に作ってもらった料理が食べたい」と思う気持ちが消えることはないでしょう。
参入障壁が低い
飲食店は、開業場所、食品衛生責任者の資格(6時間の講習で取得可能)、保健所の許可があれば、誰でも開業できます。
極論、お金があれば誰でも開業が可能です!
つまり飲食業界は「参入障壁が低い」といえます。
参入障壁が低いのですぐに開業することができますが、それ故デメリットも…。
それは「競合が起こりやすい」ということ。
飲食業は基本的に商圏(商売ができる地域範囲)が決まっているので、その範囲でお客さんの奪い合いが起こります。
それ故、常に生き残っていくための努力が欠かせません。
リアル店舗ゆえの優位点
飲食業は「アナログビジネスか、デジタルビジネスか」といわれたら、もちろんアナログビジネスです。
最近よく思うのが、「飲食業に限らず個人事業って、一周回ってアナログビジネスの方が”優位性が高い”のではないか?」と思い始めています。
これはどういうことかというと・・・
アナログで繋がりのある方が商売がしやすい
リアル店舗(実店舗)だと、商品の売買に必ず「人と人が直接やりとり」をします。
「そんなの当たり前じゃん」と思われる人もいるかもしれませんが、ネット全盛の現代では決して当たり前のことではありません。
顔も知らない、見たこともない人のネットショップから商品を購入することは、全然ありえることです。
2016年の経済産業省の発表では、ネット通販市場は15.1兆円、EC化率は5.4%、スマホEC市場は2.5兆円と、年々その市場は大きくなってきています。
もはやネット通販は、日常的なことになりつつあります。
しかし最近・・・、自分はこの売買のやり取りが、微妙に変わってきているように思っています。
これは自分の主観でしかないですが…
- 2005年頃以前→リアル店舗で商品を買うのが当たり前
- 2005~2010年頃→ネット通販で商品を買うことに抵抗はなくなってきた
- 2010~2015年頃→ネット通販で商品を買うことは普通
- 2015~現在→ネット通販はもはや日常的だけど、できれば信用できる人から買いたい
という流れになりつつあるように感じています。
つまり、デジタル(利便性)の中に、アナログ(人間味)を求める人が増えてきているように思うのです。
仮にネットショップで商品を買う場合、店長の顔写真がある店舗と、誰が運営しているかわからないような店舗だったら、恐らくほとんどの人が前者から商品を購入すると思います。
そして、その店長が普段からよく知っている人(可能ならしゃべったことがある人)なら、よりそちらを選ぶと思います。
何が言いたいかというと、人と人が直接やりとりするリアル店舗の方が、結果として「信用度が高い」ということです。
昨今、デジタルの世界では詐欺(もしくは詐欺まがい)も多いので、デジタルに慣れた人たちが逆に「アナログを判断基準にする」という、いわば逆転現象が起きているように感じています。
※ここでいうアナログとはリアル店舗を指しているわけではなく、より人間味や信用度が高い”状況”のことを指しています。
ちょっと話が逸れますが、僕が好きなライターさんに「ヨッピー」というライターさんがいます。
この人がまさに「デジタルの中でありながらアナログを体現している」と思っています。
ヨッピーさんは主にウェブでライターをやられていますが、恥も外聞もかなぐり捨てて体験取材を実行しています。
多分ネット界隈では、人間味や信用度は相当高いと思われているのではないでしょうか。
恐らく、
「この人のいうことなら…」
「この人のおすすめするものなら…」
という信用を、かなりのユーザーから獲得していると思います。
ここまでの信用が出来上がっていれば、ビジネスの視点から見ると「商売がしやすい」といえると思います。
回りくどくなりましたが、アナログ(人間味や信用度が高い)な方が、人は心を動かし、そしてそれは商売にもつながっていくということです。
そういう意味で「アナログで繋がりのある方が商売がしやすい」といえると思います。
つまり、飲食業はアナログビジネスなので、ネットショップなどのデジタルビジネスよりも、勝機があるということです。
商圏が限られるのでネットよりも優位性がある
通常、店舗型の飲食店の場合、商圏(商売ができる地域範囲)が限られます。
逆に、ネット上の店舗の場合、商圏は無限です。
どんなに人里離れた場所でも、ネット環境があれば世界中が商圏になります。
ただし、世界中が商圏ということは、イコール「無限に競合店がある」ともいえます。
ネットショップがまだ少なかった頃は、一極集中型で効率良くお客さんを集めることができました。
しかしながら現在は、個人でも簡単にネットショップを持てるようになったので、国内だけでも競合店が無数に存在します。
無数の店舗の中から自店を選んでもらうのは、相当な努力が必要です。
そう考えると、逆に商圏が限られている飲食業の方が、商圏外は競合店にならないので、「ネット店舗に比べれば優位性がある」といえます。
リアル店舗とネット店舗の比較
リアル店舗とネット店舗をそれぞれの項目で比較してみました。(飲食業などに限らず全般を指しています)
※あくまでも前述までの流れでの優位性の比較です。
※「☆☆☆☆☆」が優位性がより高いと定義します。
リアル店舗 | ネット店舗 | |
開業難易度 | ☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
開業費用 | ☆ | ☆☆☆☆☆ |
商圏 | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
営業時間数 | ☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
顧客年齢 | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆ |
スタッフ数 | ☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
他店舗との差別化 | ☆☆☆☆☆ | ☆ |
信頼度 | ☆☆☆☆☆ | ☆ |
- リアル店舗…25点
- ネット店舗…28点
上記の項目に限ってみると、ネット店舗の方がやや優勢です。
※飲食業に限らず業種業態関係なしの比較なので、飲食業がそのまま当てはまるわけではありません。(ネット上で食事ができるわけではないので)
飲食業に限って考えると、飲食業は労働集約型なのでどうしても人の手がかかります。その部分はある意味弱点といえます。
ただ、「他店舗との差別化」と「信頼度」は圧倒的に強いといえます。
つまり飲食業は、「他店舗との差別化」と「信頼度」を強化していけば、ネット店舗に負けない個性的な存在になり得ることが可能といえます。
飲食店経営の魅力とメリット まとめ
ということで今回は、飲食店経営の魅力とメリット、そしてリアル店舗ゆえの優位点に関しての講座を行いました。
一見、飲食業は労働集約型で非効率な業態と思われていますが、時代が回って「リアル店舗ならではの優位性もある」ということがわかったと思います。
結局人間自体がアナログなので、アナログ商売の方が惹きつけられる力が強いのです。
飲食業ではいかにこの部分を強化していけるかで、今後の生存率が変わってくると感じています。
今回の講座内容が参考になれば幸いです。
それではまた次回の講座でお会いしましょう!
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