やらないで後悔よりも、やって後悔の方がいい。お酒はぬるめの燗がいい。
どうもヨッシー店長です。
今回は「個人飲食店の開業講座」の第4回目です。
この開業講座、意外に人気があるようで、毎回そこそこのアクセス数があります。
個人飲食店の開業に興味がある人が多いのでしょうか?(^_^;)
自分としては興味を持ってくれるのは嬉しい限りです☆
さて4回目の今回は、自分が開業してから1周年を迎えるまでの1年間でやらかした「失敗例」を紹介していきたいと思います。
「飲食店 失敗談」などで検索すると、廃業してしまった人の体験談は出てきますが、自分のように現在も経営している人が失敗例を語る記事というのは、結構珍しいかもしれないですね。
また、その失敗例を現在どのように改善したかの「改善策」も紹介したいと思います。
これから飲食店開業を目指す人にお役に立てば幸いです。
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料理提供までにまさかの1時間!
失敗談
開業直後、よくやっていた失敗がこの「料理提供時間が1時間後になってしまう」という失態。
今でこそ1時間待たせるということはありませんが、最初の頃はよくありました…。
うちの店の場合、店内の席数は20席。
お客さんが2、3組くらいなら同時に来店されてもなんとかなりましたが、これが6組とか同時に来店されると一気にキャパオーバーとなっていました。
こうなると一番最後にオーダーをとったお客さんに料理を出すのは”1時間後”ということもよくありました。
さすがにお客さんとしても1時間待ちはキツいですよね。
今思うと、これで逃してしまったお客さんも多かったと思います…。
改善策
改善策としては、とにかく調理オペレーションのシミュレーションを何度も行いました。
例えば、それぞれの料理の待機時間(炒め続けているだけ、茹でているだけ、など)を計算し、いかに同時進行で料理ができるかを徹底的にシミュレーションしました。
また、他のスタッフに任せられる部分は任せるようにしました。
これらの改善で、現在では最大でも30分程で料理提供ができるようになっています。
ちなみに、最初の頃はあまりにも長く待たせたお客さんには、アイスクリームなどをサービスしてフォローを行っていました。
物でつるわけではないですが、待たせてしまった分のお詫びとして、また自責の念として提供していました。
料理を出すタイミングがバラバラ
失敗談
前述の「料理提供までにまさかの1時間!」にも重なる部分があるのですが、調理時間の短い料理から先に出してしまい、調理時間の長い料理を後で出してタイムラグがものすごくできてしまうという失敗もよくやっていました。
これ、下手したら先に出した料理が食べ終わった頃に同時注文した料理が出てくる…なんていうことも起こっていたかもしれません。(そうなっていたお客様、申し訳ございません…)
改善策
改善策は、これも事前シミュレーションして「どれを最初に作って、どれを最後に作るのか」を瞬時に判断できるようにしていきました。
そのメニューが何分何十秒で作れるかを割り出しておくことが重要ですね。
料理提供のタイムラグは、意外と顧客満足度に関わってきます。
家族との食事なら多少タイムラグがあっても気になりませんが、友達同士で来て料理を食べる時間がバラバラってなんか嫌ですよね…。
自分は少なくともそう思っているので、極力タイムラグがないように料理提供を心がけています。
でも同時に6食全部がそれぞれ違うメニューだと、今でも多少タイムラグは出ちゃうんですけどね…(^_^;)
料理を出す順番を間違える
失敗談
これは今までほぼないのですが、先にオーダーを通したお客さんよりも、その後にオーダーを通したお客さんの料理を先に作って提供してしまうという失敗例です。
この頃は、忙しくなってくるとオーダー表が混ざってしまい、どこのテーブルが先にオーダーしたかわからない状況がたまにありました。
お客さんからしたら「え?こっちが先に注文したんだけど!」と不愉快になってしまいますよね。
一度これが原因で「おいっ!こっちが先に注文したろがっ!!」とお客さんに怒鳴られたことがありました…。(ちょっと強面のお客さんだったので恐怖を感じました)
この失敗は顧客満足度がかなり低下するので、気を付けた方がいいです。
改善策
改善策としては、オーダー表が混ざらないように「優先オーダー3組」と「その後のオーダー」の物理的な区分けをしました。
これをすることによって、忙しい時でも混乱せずに対応できるようになりました。
単にオーダー表を横並びにしていると、提供済みを外した後、そこに新しいオーダー表が並んでしまうと「どのオーダーが優先順位が高いか」がわからなくなってしまいます…。
うちの場合は、優先オーダー3組の枠を作ることによって、直感的にどのオーダーが優先なのかをわかるようにしました。
この仕組みにしてからは、この4年間料理を出す順番を間違えたことはありません。
食材が足りなかったり余りすぎたり
失敗談
1年目はお客さんの入り予想や食材消費量がバラバラだったため、食材が足りなかったり余りすぎたりということはよくありました。
「今日は暇だろう」と思っていたら団体さんが急に来たり、「今日は混む気がする」と思っていたら連休初日で全然来なかったり…、そんなことが何日もありました。
余った食材を家庭で消費することもありましたが、それでも使える量には限界がありました。
なくなく捨てる食材を見て悔し涙する日も多かったです。
改善策
改善策というか、この部分は経験値の部分が大きいですね。
例えば、天気が雨なら暇とか、毎月25日過ぎは比較的忙しい、ゴールデンウィーク頃は犬連れ客で忙しいとか、年を重ねる毎に”アタリ”がわかるようになっていきました。
おのずと食材の準備量もわかるようになっていきました。
現在では「足りない、余りすぎる」ということは、ほぼ無くなりました。
この部分は各店で変わってくるので、やはりある程度長い年月で見極めていく必要があると思います。
リピートしてもらうが、3回以上続くのが難しい
失敗談
開業してから1年半、徐々にお客さんが増えていきましたが、多くのお客さんが2回目の来店を最後にそれ以降来店がピタリと止まるという状況になりました。
2回目の来店があるということは、味が不味い、コスパが悪いということは基本的にないと思われます。
ではなぜ3回目以降の来店がないのか…。
自己分析してみたところ、
「1回目の来店では驚きがあり、『また来てみよう』と次回の来店につながる。しかし2回目はそれ程驚きがない。驚きがないというのは、メニューの数が限られていて、3回目以降の来店動機がなくなる」
となりました。
ちなみにこの頃のメニュー数は、レギュラーメニューの5種のみでした。(ガパオご飯、カオマンガイ、タイカレー、パッタイ、フォー)
なので、「代り映えがないな…」と思われて3回目以降の来店につながっていないように思えました。
改善策
そこで、メニューのマンネリ化を打開するべく、『週替りメニュー』というものを発案しました。
週替りメニューは、レギュラーメニュー以外のスペシャルメニューで、その週食べられないと次はいつ食べられるかわからないメニューになっています。
以前よりレギュラーメニュー以外にも食べてもらいたいメニューは沢山ありました。(トムヤムクンヌードルなど)
でもこの頃は平日フルでサラリーマンをやっていたこともあり、レギュラーで毎週用意することはなかなかできませんでした。(仕込みに時間がかかるので)
しかし、週に一度であればなんとか用意することが可能と判断し、週替りメニューを開始しました。
すると、毎週アプローチを変化させることができ、お客さんから「うわー、こんな料理食べたの初めてです」とか「トムヤムクン大好きなんですよー」という話が増えていきました。
やがて、「今度このメニューやってください!」という要望ももらうようになり、良い相乗効果が生まれだしました。
週替りメニューを始めて半年後、GW頃には常に満席状態の店になることができました。
そして3回目以降の来店がなかったお客さんも、徐々に4回目、5回目、6回目…と常連さんとして増えていきました。
もちろん単純に「週替りメニューを始めたからお客さんが増えた、常連さんができた」というわけではなく、他の面(料理の提供時間が早くなった、サービスの質が上がったなど)が影響していることは否めませんが、週替りメニューを始めた事は店の運営を大きく変えたと思っています。
これに関しては主観ではなく、常連さんからも「やっぱり週替りメニューを始めた事は大きいよね」と言われたことがあります。
上記はうちの店の場合にはなりますが、「お客さんを飽きさせない工夫」というものは常に持っていた方が良いと思いますね。
僕自身がもし近所にこういう店があった場合、「今日は何だろう?」と興味が出ますので…。
開業後の出費は予想以上に多い
失敗談
開業するまでに万全の準備をしていたとしても、その後起こるトラブルやアクシデントは尽きないものです。
自分の場合も万全の準備をしていたつもりでしたが、開業後「あれがない!これがない!これが必要だ!」ということが頻発しました。
そして、それによって予想以上に出費が重なりました。
たしか開業後でも数十万は出ていったと思います。
具体的には、追加の冷蔵庫、テラス席用のテーブルチェアセット、ソファが壊れた、一部内装工事が必要になったなど…。
改善策
改善策としては…
正直ないです!(^▽^;)スミマセン
これって、本当開業してみないとわからないことが多いので、想定するのは不可能に近いと思います。(想定できたら準備できるはずですし…)
なので、対策としては「開業後の出費は必ずある」と思っておき、資金の余剰分を残しておきましょう。
何もなかったら運転資金にまわせばいいだけですし(^-^*)
やはり什器は業務用がいい
失敗談
うちの店の場合、建築基準の関係で店舗部分は業務用の什器を入れることはできませんでした。(ガス台、シンクなど)
後入れできる、冷蔵庫、製氷機、小シンクなどは業務用にできたのですが、ガス台は家庭用(3口コンロ)を今も使用しています。
そこに業務用卓上ガステーブル(2口コンロ)を入れ、計5口のコンロで営業しています。
家庭用は業務用に比べると、やはり火力が弱く、掃除もしにくいですね…。
改善策
業務用はやはり調理現場に合わせて作られているので、できれば業務用什器がある方が良いといえます。
ただし、店の運営形態によって家庭用でも問題ない場合もあります。
料理をガッツリ作るようなレストランや居酒屋などはやはり業務用什器の方が良いですね。
ちなみにうちは今も家庭用のガスコンロを使っていますが、「フライパンを小さくする」「火力に依存しなくても作れる料理を考案する」などで対処しています。
家庭用でも工夫すればなんとかなる場合もあります。
ここら辺の判断は、飲食業界での経験が大きく影響しているようにも思います。
逆に飲食業界でどっぷり働いていた人の中には「家庭用なんて絶対ダメ!」と思い込んでいる人も少なくないです。
ちなみに追加の業務用機材は「厨房用品専門店!安吉」でよく購入しています。参考まで。
気化した油が予想以上にすごい
失敗談
うちの看板メニューである「ガパオご飯」は、炒め物なので気化した油がかなり出ます。
そのため厨房の壁、換気扇は油汚れがすごいです。
特に換気扇はすごくて、フィルターの網目が油で詰まってしまう程です。
調理の種類にもよりますが、もし「揚げ物をメイン」にする飲食店にする場合は、この換気の問題はしっかり考えておいた方が良いです。
特に住宅街で個人飲食店を開く場合、近所から「油の臭いが酷くて洗濯物が干せない!」なんていうクレームが入る可能性もなくはないです。
改善策
うちの店はオープンキッチンなので、気化した油は客席にもいきます。
なので、↓のように飛散防止をしています。
これでも不十分なので、換気扇フィルターは1ヶ月に1回は掃除しています。
ちなみに換気扇も家庭用を使用していて、2台でなんとかやりくりしています(^_^;)
自分の体力を過信しすぎた
失敗談
開業から4年半、自分は平日にサラリーマンをやりながら、週末の店舗営業を行っていました。
開業当初は混むこともなく、疲れも溜まらず、平日の仕事にも影響は出ていませんでした。
しかし開業から2年も経つと店は忙しくなりました。
「平日の仕事のパフォーマンスを落とすことは絶対にダメ」と決めていた自分は、徐々に疲労を蓄積していきました。
開業から4年、1年のうち360日何かしらの仕事をしていた自分ですが、「このままでは、やがて病気になる。もしくは死ぬ…」と思う程の疲労蓄積状態となりました。(回復力が追いつかないどころか、回復できない身体になっていました)
比較的体力には自信のあった自分ですが、やはり週7日労働というのは無理がありました。
※上記の詳細は「40歳親父がサラリーマン退職半年後どうなった?生活は?収入は?」でも書いています。
改善策
開業前に体力をつける(運動によって基礎体力を上げる)のは大事だと思いますが、体力回復も考慮して生活していくことがとても大事です。
もちろん開業当初1年くらいは、それこそ死に物狂いでやるしかありませんが、ある程度経営に慣れてきたら、上手く息抜きすることをした方が良いでしょう。
自分の場合は4年半頑張り、最終的にはサラリーマンを辞め、週7日の仕事から週6日の仕事スケジュールにして対応しました。
週1日の休みではありますが、体はだいぶ楽になり、疲労も溜め込まない生活へと改善できました。
まとめ
ということで今回は「飲食店開業1年目にやってしまった失敗談とその改善策」を紹介してきました。
上記をまとめると以下になります。
- 「料理提供時間が1時間後になってしまう」という失敗は、「調理オペレーションのシミュレーションを何度も行なって」改善しました。
- 「料理提供までのタイムラグがものすごくできてしまう」という失敗は、「どれを最初に作って、どれを最後に作るのかを瞬時に判断できるようにシミュレーション」して改善しました。
- 「先にオーダーを通したお客さんよりも、その後にオーダーを通したお客さんの料理を先に作って提供してしまう」という失敗は、「優先オーダー3組とその後のオーダーの物理的な区分け」をして改善しました。
- 「食材が足りなかったり余りすぎたりする」という失敗は、経験値の部分が大きいのですぐには改善できないが「長い年月で見極めていく努力をする」。
- 「リピートしてもらうが、3回以上続くのが難しい」という難題は、「お客さんを飽きさせない工夫を考える」ということが必要。自店の場合は『週替りメニュー』というものでその工夫を行った。
- 「開業後の出費は予想以上に多い」ということに関しては対応策が困難なので、「開業後の出費は必ずあると思っておき、資金の余剰分を残しておく」ことが重要。
- 「什器は業務用がいい」が、「家庭用でも工夫すれば対応することは可能」
- 自店の場合「気化した油が予想以上にすごい」ので、「二重、三重の油飛散防止を行って対応」している。
- 「自分の体力を過信しすぎ、過労死目前までいってしまった」ので、「サラリーマンを辞め、体力に無理のない生活に変えた」
開業後のトラブルは日常茶飯事です。
でもそれに臆する事なく冷静に対処できるように、開業前の準備はとても大事です。
ちなみに自分の場合は、「開業したい!」と思ってから実際に開業するまでには9年の準備期間がかかりました。(飲食店修行、経営の勉強を含め)
今回の講座内容が参考になれば幸いです。
それではまた次回の講座でお会いしましょう!
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