個人飲食店の開業資金ってどれくらい?儲かるの?気になるお金のあれこれ

個人飲食店の開業資金・自己資金・利益

現代のインターネットって、ある意味ドラえもんに出てくる「きこりの泉」という道具に似ているのかも。

嘘をついたら没収、嘘をつかない正直者しかネットでは生き残っていけない…。

そんな状況下のような気がします。

どうもヨッシー店長です。

 

早くも「個人飲食店の開業講座」の第5回目です。

※過去4回の講座はこちらから

 

今回は、多くの人が気になるであろう「個人飲食店のお金の話」です。

  • 開業資金はいくらかかるのか?
  • 自己資金はいくら必要なのか?
  • 融資はいくらまでしてもらえるのか?
  • どれくらい儲けることができるのか?

これらの項目は、これから飲食店を開業するつもりの人には気になる部分だと思います。

ということで、今回は「個人飲食店にまつわるお金のあれこれ」を紹介していきたいと思います。

何かの参考になれば幸いです。

 

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開業資金はいくら必要か?

開業資金の目安

開業資金に関しては多くの方が気になる部分かと思いますが、個人飲食店を開業する場合、だいたい幾らくらいの資金が必要になるか、わかりますか?

業態業種、取得条件、その他環境で一概に言えない部分がありますが、業界の定石としては大よそ「店舗面積1坪あたり100万円が必要」と言われています。

例えば、10坪の店舗面積があれば1000万円の開業資金が必要、20坪の店舗面積があれば2000万円の開業資金が必要、といった具合です。

 

ただ、これはあくまでも”目安”に過ぎません。

開業を夢見てる時期(だいたい10坪くらいの店をやりたいなーとホワホワ思っている時期)の参考額でしかありません。

 

開業資金の参考例(架空店舗)

以前の記事でも紹介しましたが、開業資金の参考例を記載しておきます。

    条件は…

  • 店舗はテナントを借りるとする
  • 賃料は月額30万円とする
  • 保証金は10ヶ月分とする
  • 礼金は1ヶ月分とする
  • 居抜き(前店舗の設備がある)ではなく、スケルトン(設備は一から)とする
  • 地方都市の主要駅付近で、駐車場は無しとする

とします。

 

保証金 300万円
礼金 30万円
仲介手数料 30万円
前家賃 30万円
厨房機器費 100万円
看板施工費 20万円
内装・設計費 150万円
求人広告費 10万円
販売促進費 40万円
備品費 30万円
合計 740万円

以上は架空店舗とはなりますが、個人飲食店では大体300~1000万円は必要になってくるのではないでしょうか?

 

自己資金の目安は?

では開業資金のうち、自己資金はどの程度用意すればいいのでしょうか?

 

一般的には、「開業資金の30~50%は自己資金を用意した方が良い」といわれています。

例えば、開業資金1000万円であれば300~500万円は自分で貯金した方がよいということです。

残りの資金は、「日本政策金融公庫」から融資してもらう場合が多いです。

現在、政府の意向もあり「日本政策金融公庫」からの融資審査は比較的ゆるくなっているといわれています。(小額300万円程度なら融資してもらいやすいといわれている)

 

でも融資はあくまでも国からの借金。

借金をしてからの事業スタートは、精神的にはかなり辛いものです。

また、早々に廃業してしまった場合、その借金を返していかなくてはいけません。(一括返済を要求される可能性もあります)

 

そこで、個人的におすすめしたいのは、「開業規模を最小限にして(一人で経営)、全部自己資金で開業」する方法です。

この方法が”一番リスクが低い”と個人的には思います。

目標金額を貯金するまでは大変ですが、全て自己資金で開業すれば、借金による精神的な負担は無いですし、仮に思っていた状況と異なってしまった場合(お客さんが思ったほど来ない、立地が悪かったと後で気づいた、定着するまでに時間がかかってしまったなど)でも、後々の進路変更(出店場所を変える、業態を変える、廃業する)はしやすいです。

特にスタッフを集めにくい現在の状況下で個人飲食店を開業するなら、まずは一人で経営できるスタイルがもっともリスクが低いと思われます。(一人だとカウンターオンリーの店が最も効率が良いです)

 

運転資金はいくら必要か?

運転資金はいくら?

店舗の経営が軌道に乗るまで、赤字でも経営が続くための準備資金を「運転資金」と呼びます。

この運転資金、果たしていくら必要なのでしょうか?

 

運転資金は、多くあるに越したことはありません。

具体的にいうと、「半年~1年間分の運転資金があると安心だ」といわれています。

しかしながら、店舗規模にもよりますが1年間分の運転資金を用意するとなると、開業資金とは別に数百万円の資金が必要になり、自己資金で用意するのはかなり難しいといえます…。

 

前述した「開業規模を最小限にして、全部自己資金で開業」を実現できれば、融資分を運転資金にまわすこともできますし、そもそも開業規模が最小限なら必要になる経費(人件費や食材費など)を低く抑えられるので、運転資金も低く抑えられます。

仮に300万円の運転資金を持っていて、1ヶ月の必要経費が50万円であれば、半年は利益が出なくても店舗経営は続けられます。(まあ半年間利益0円だったらある意味廃業した方がいい店舗なのかもしれませんが…)

 

ちなみに、開業してから3ヶ月~半年で廃業する店舗は、この運転資金が”ほぼない状況”で開業した場合が多いといわれています。

「開業する」ということ自体が目的になってしまい、その後のことをあまり考えてないといえるのかもしれません…。

運転資金はある意味で「生死を分ける資金」といっても過言ではないでしょう。

どんなに一流の料理人・経営者でも、事業が軌道に乗るまでには絶対的に時間がかかります。

 

自分の生活費も確保しておく必要がある

前述した「開業資金」「運転資金」以外に、「自分の生活費」も確保しておかなければいけません。

よく「自分は給料なんていらないので、店を継続できればそれでいいです」みたいなことを言う人もいますが、それは無理です。

最低限の自己生活費は絶対に必要です。

ここが確保できなければ、いずれ店舗の経営もできなくなります。

 

自己生活費は、できれば半年~1年間分は確保したいところです。

もし「貯金は開業資金と運転資金を貯めるのでが精一杯」というのであれば、自己生活費を抑える方法(実家に住む、配偶者に働いてもらう、自宅で開業する、など)が必要になってくるでしょう。

 

ちなみに2017年現在の飲食業界では、「開業資金」「運転資金」「自己生活費」を何年もかけて貯金したとしても、開業半年後に”その全てを失う人”も数多くいるのが現状です。

それほど厳しい状況の業態なのです。

※その理由は「個人飲食店を5年間経営し続けてわかった飲食業継続が困難な10の理由」でも。

 

飲食業はどれくらい儲けることができるのか?

飲食店は儲かるのか?

飲食業界では概ね「10%の利益が出れば良い」と言われています。

月商300万円の店舗の場合、30万円が利益といえます。

 

規模にもよりますが、小さな個人飲食店を始めた直後は月商150万円もいけば良い方なのではないでしょうか?

月商150万円の店舗の場合、利益はたったの15万円です。

“たった”と書くと語弊があるかもしれませんが、自分の価値観では15万円の利益はどうしても“たった”と思ってしまいます。

週一休み、もしくは休み無しで1日15時間以上働いていてこの利益額だとしたら、尚更です。

 

しかもこれは「毎月コンスタントに月商150万円をキープできている場合」の話です。

飲食業は水商売なので、利益の浮き沈みは激しいです。

利益が1/2、1/3になることは容易にあります。

でも逆に利益が2倍、3倍になることは稀です。

 

正確な統計データはありませんが、他店の情報や業界記事などを読む限りでは、2017年現在、10%の利益を確保できる店舗は割合としては、かなり少ないと思われます。(具体的には3割に満たないと思います)

つまり、「10%の利益を確保することすら難しい状況」なのです。

 

これは持論ですが、「MAX10%の利益程度では、今後の日本では経営を続けていくのは困難になるでしょう」

なぜならば、サラリーマンの賃金が上がらない状況で、実質的な物価はどんどん上がっていき、本来なら飲食店の商品価格はそれに沿って値上げしていかなければいけないのですが、それをすることが困難だからです…。

デフレ経済が長引いた日本では、「飲食店で支払う金額はこれくらいが妥当(比較的低価格)」という見えないボーダーラインができてしまっています…。

例えば、ランチなら999円以内が妥当、夜でも数千円が妥当…といった感覚です。

もし吉野家の牛丼並みが800円、マクドナルドのセットが900円、家系ラーメンが1杯1200円…とかだったら、「いやー、その値段なら他のもの買うよ」と、多くの人がなると思います。

仮にインフレ率が上がったとしても、庶民の感覚値が変化するまでには相当時間がかかると思います…。

「仕入れ価格は上がるのに、自店の商品価格は上げられない…」

こんなことが常態化していくと、この損益分は結局“自店の利益を削る”ほかなくなります。

ですから、「MAX10%の利益ではなく、MAX20%の利益を出せるような仕組みづくり」を今すぐにでもしていかなくてはいけない…と個人的には思っています。

しかしながら、労働集約型のビジネスモデルである飲食業で、MAX20%の利益を出すのは超絶困難だと思います。(5%の利益を出すのすら難しくなってきています…)

自分の予想では、これをクリアできるのは1000店舗中1店舗くらいの割合ではないでしょうか…。いや、もっと少ないかも…。

 

仮に誰かに「飲食業って儲かるの?」と聞かれたら、「儲かりません!」と即答します(^_^;)

 

まとめ

ということで、今回は「個人飲食店にまつわるお金のあれこれ」を紹介してみました。

まとめると・・・

  • 開業資金の目安は「店舗面積1坪あたり100万円」といわれているが、これはあくまでも目安にすぎない。
  • 個人飲食店では大体300~1000万円は必要になってくるのでは?
  • 自己資金は、開業資金の30~50%程度はあった方が良い。
  • 融資や助成金は当てにしない。
  • 開業規模を最小限(自分一人)で始めるのがおすすめ。
  • 開業資金・運転資金以外に「自分の生活費」を半年分以上は確保しておいた方が良い。
  • 今後の日本では「MAX10%の利益ではなく、MAX20%の利益を出せるような仕組みづくり」を目指していかないと生き残っていけなくなる。

 

お金に関することは、まだ他にも色々あるので、また別の開業講座で紹介したいと思います。

 

今回の講座内容が参考になれば幸いです。

それではまた次回の講座でお会いしましょう!

 

次の関連記事は…
飲食店を独立開業する前に考えておくべき15の事 これをクリア出来なければ即廃業の危険性大

 

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1976年生まれの二児の父。タイ料理カフェ『カフェガパオ』のオーナー。料理担当。3DCG、Webデザイン、ネットショップなどを経験しつつ、現在は飲食業を主軸に多角度的活躍を狙う、自称「ハイパー飯屋クリエイター」。現在は「自宅飲食店開業の専門家」としても活動中。SF映画が好きで特にアメコミ系と時間軸系が好物。100mの至近距離でUFOを見たことがある。