自店のカフェガパオをオープンしてから、既に12年が経っていますが、開業当時を思い返すと
「よくこんなレベルで開業できたもんだな…」
と、我ながら呆れ顔になります(^-^:)
開業前に色々と勉強したつもりでいましたが、今思うと「全然理解していなかったな…」と反省しています。
ということで今回は「開業時にこれを失敗してたな…」ということを、2024年現在(開業12年後)の目線でまとめてみたいと思います。
題して
「飲食店開業で失敗したこと10選!」
過去の自分がやっちまったことをご紹介します。
今後、飲食店を開業しようと思っている方に少しでもお役に立てば幸いです。
【失敗①】立地選定のミス
失敗1つ目が、
「立地選定のミス」
です。
飲食業は
「立地で成功するかしないかの70%が決まる」
なんて言われることも多いですが、
12年経った今の自分から見ると
「たしかに立地は重要だなぁ…」
と感じています。
現在自店があるエリアは「住宅街」で、メインストリートに面しているとはいえ、国道沿いというわけでもなく、平日はほぼ人が歩いていません。(移動は基本的に車)
また、最寄り駅からバスで15分以上離れている場所であり、周りに大きな施設(学校や企業など)も特にありません。(少し離れたところに大型ショッピングセンターがあるけど)
今思うとなかなか無謀なことをしたなと思いますが、
開業当時の自分は
だからある程度の人口数があるエリアなら、立地はそこまで重要ではない。
と考えていました。
これはこれであながち間違っていない部分もあるかと思いますが、
「稼ぐ」という視点で見ると、間違っていたように思います。
週末はそれなりに混雑していますが、平日はなかなか厳しい…というのが現状です(-_-;)
飲食業で「稼ぐ」のが目的であれば、やはり駅前や繁華街で出店する方が良いのかもしれません。
「稼ぐ目的で考えた場合は、立地選定のミスがあった」と言わざるを得ないでしょう。
ただ、自分は元々「飲食業で稼ぎたい」という気持ちはほとんど無く、
- 飲食店開業は自己実現のため
- 飲食業をベースにしつつ、いずれは別事業で収益化していきたい
という想いがありました。
※とはいえ、「生活するための最低限の収入は飲食業で必要」とも思っていました。
なので、現在出店しているエリアは「稼ぐ」という視点では「立地選定のミスがあった」といえますが、「自分がこう生きていきたい」という視点では「立地選定は間違っていなかった」ように思います。
まあ住宅街であっても、バリバリ稼げたら一番良いんですけどね…(^-^;)
【失敗②】価格設定のミス
失敗2つ目が、
「価格設定のミス」
です。
これも開業当初はミスってましたね(^-^;)
「安ければ安い方が良いんだー!」と思っていたわけではないのですが、
開業当初は
と考えていました。
初期投資という意味では間違っていなかったかもしれないですが、今思うと
「最初の価格は安すぎたなー」
と反省しています。
※現在税込1026円のガパオライスが当初は税込700円だった。
まあ現在の物価高や円安を考えるとある程度値上がりするのは仕方ないですが、当初は
「価格設定に自信が無かった」
というのが本音です。
開業当初はサラリーマンの収入もあったので、そこまで切迫した状況ではなかったですが、今ならあり得ない原価率でしたね…(^-^;)
価格設定のコツとしては、
「自分が決めた価格よりも少し高い価格にする」
と良いと思います。
例:自分的には880円くらいだと思う→あえて980円にする
理由は、自分のように開業当初は
「自信がないことから安価にしてしまいがち」
だからです。
自分が想定している価格よりも少し高い価格で商売することになるので、それに伴う意識やモチベーションが変わってきます。
開業から12年経った今の自分はそう考えます。
【失敗③】コスト管理の甘さ
失敗3つ目が、
「コスト管理の甘さ」
です。
「価格設定のミス」にも通ずる部分なのですが、「コスト管理の甘さ」も、今思うと失敗していた項目ですね。
開業当初は、日別のコスト管理はもちろんのこと、月別のコスト管理も結構いい加減でしたね。
当初は土日のランチ営業だけだったので(週2日営業)、主なコスト計算は原材料費、光熱費、雑費くらいでした。(人件費は家族のお手伝いでほぼ無償)
でも今思うと、当初から細かいコスト管理はやるべきでした…。
まあ平日のサラリーマンが忙しかったので営業するだけでも精一杯だったこともありますが、コスト管理をしっかりやることによって「改善点が見つかったはず」ですので。。
現在は毎日「会計日記帳」でコスト管理を行っています。
【失敗④】安物買いの銭失い
失敗4つ目が、
「安物買いの銭失い」
です。
開業当初、今後の経営が上手くいくかどうかわからない状態だったこともあり、初期投資を抑えるため、安く購入できるものは安く購入していました。
ただ、安いだけあってその寿命は短く、結果的には
「安物買いの銭失い」
になっていました。
例えば、製氷機は中国製の15万円のものを導入したものの、4年程で壊れ、修理しようにもメーカーが倒産していて修理ができませんでした(涙)
全面ガラスの冷蔵庫も導入しましたが、全然中のものが冷えず…、結局2年でおじゃん。
コードレス掃除機に至っては3台も壊れて、都度買い替えてました…。
初期投資を抑えるためとはいえ、総額で考えるとかなりもったいないことをしましたね…(-_-;)
やはり冷蔵庫、製氷機、食洗器などの業務用家電は、可能であれば早く揃えた方が良いかと思います。
ちなみに掃除機は土間を掃除する場合、コードがあるパワフルなモデルがおすすめです♪
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【失敗⑤】目標設定の甘さ
失敗5つ目が、
「目標設定の甘さ」
です。
飲食店のやりがちな失敗の一つに
「予想していた売上と全然違っていた(全然稼げない)」
という失敗例がありますが、
自分ももろにこれに当てはまりました(^-^;)
開業当初は平日にサラリーマンをやっていたこともあり、特に売上が上がらなくても生活に困ることはありませんでしたが、今思うと「細かい目標設定はできていなかった(日別売上目標、日別コスト計算など)」ので、これも本当は最初からやるべきだったと反省しています。
開業前にどこかのチェーン店でマネージャーや店長をやっていたら、この手の目標設定はお手の物だったんでしょうけど、前職がIT業だったこともあり、なかなかそこまでは意識が行っていませんでしたね…。
今後開業される方は、恐らく事業計画書を作るかと思いますが、
自分からアドバイスをするとすれば
「月単位、週単位ではなく、日別で目標やコスト計算を、なるべく細かく予想しておいた方が良い」
と伝えておきたいです。
でも12年経った今の自分から考えると、日別で目標やコスト計算をした方が良いと考えています。
日別で細かく設定することによって、現実の数値が見えてきますし、
「希望的観測(根拠のない数値)が消える」
と思います。
ちなみに「人を雇ってテナント店舗で開業」した場合は、目標数値はかなり正確に出さないと
すぐに廃業に追い込まれる可能性が高いです。
逆に「家族に手伝ってもらう自宅飲食店で開業」した場合は、最悪、細かい数値目標を出さなくても、
ある程度経営を継続させる可能性が高いです。(ある意味「どんぶり勘定」)
どんぶり勘定はよくないですが、経営しやすさの点で見ると「自宅飲食店には分がある」と言えそうです。
参考→ 自宅を改装して飲食店を開業!現役タイ料理カフェオーナーが自宅飲食店のメリット・デメリットをまとめてみた
【失敗⑥】集客ができていなかった
失敗6つ目が、
「集客ができていなかった」
です。
開業当初の集客方法は、主に
- 店頭看板
- 近所へのチラシ配布
- 各グルメサイト(無料版)
- ブログ
程度でした。
開業した2012年は、まだSNSが本格的に普及していなく(スマホもまだ今ほど普及していなかった)、主流となる集客方法は
「昔からあったアナログ手法(看板やチラシなど)+グルメサイト(ぐるなび、食べログなど)」
がメインでした。
自分は前職でIT業をやっていたこともあり、
と考え、集客はネットメイン(ブログ、ツイッター等)で動いていました。
しかしながら、この考えはまだ時代的に早かったようで、2012年の中都市の田舎では「アナログ手法の方が強かった」です(^-^;)
結局、開業半年間はあまり集客できない状態が続きました。
半年後からは徐々に「来店されたお客さんのクチコミ」が徐々に広がっていき、それとともにSNSの普及やGoogleマップの機能拡張によって、集客ができるようになっていきました。
変に「集客はネットがメイン!と思い込んだ」のが、開業当初の失敗点ですね。
2024年現在では、Googleマップやインスタグラムからの集客は当たり前となっていますが、
今思うと
「その時代その時代に合わせて、今はどんな集客が最適か?」
を考えていく必要があるといえますね。
ちなみに今現在最も集客力のある媒体は『YouTube』だと感じています。
【失敗⑦】駐車場の誤算
失敗7つ目が、
「駐車場の誤算」
です。
これは今でも頭を悩ませている失敗です(-_-;)
中都市の田舎って、結局は「車社会」なんですよね。
バスもあるけど、うちの店があるエリアは「自家用車必須エリア」といえるでしょう。
自宅を建てる際、テラス部分を含め、来店する車の数は「4台」を想定していました。(メイン顧客は近所の住宅街から、歩いて来店する人を想定していたので)
開業当初は「4人掛けのテーブルが5個」「2人掛けのテーブルが1個」「4人掛けのテラス席が1個」と、最大26人が入れる店舗となっていました。(現在は18人に減らした)
開業から半年後、お客さんが急増した時に事件は起きました。
駐車場が足りず、近所に路上駐車する人が増え、これによりご近所さんからクレームが殺到!しました。
それ以降、クレーム対応に追われる日々が続きました。
現在は
- 臨時駐車場を地主さんに借りる
- 予約時間をずらしてもらう
- 予約の際になるべく車1台で来てもらう
などの施策をとって、なんとかやりくりしています。(※クレームは無くなったが、機会損失などはよく起きている)
自分のように
「中都市の田舎で住宅街に店舗があり、客単価の低い業態」
で開業する際は、是非「駐車場の数」を考慮しておいてください。
駐車数の目安は
「理想は総席数の3分の1、最低でもテーブル数と同じ数」
が、ほしいところです。
※各エリアの特性、業種業態などによって変わるので、上記はあくまでも目安程度。
ちなみに、
「中都市の田舎で住宅街に店舗があっても、客単価の高い業態(コース料理がメイン)」
であれば、単価が高い分、来店数が少ないので、最低限の駐車場数でも大丈夫な可能性もあります。(うちの近所にもそういうお店があります)
「駐車場の必要性」に関しては、以前
「郊外で飲食店経営するなら駐車場は必須!現役オーナーが実感した駐車場確保の重要性」
という記事で書いていますので、そちらもご参照ください。
【失敗⑧】プロダクトアウトに偏りすぎた
失敗8つ目が、
「プロダクトアウトに偏りすぎた」
です。
飲食業でいうプロダクトアウトとは、
「立地や外部環境に関わらず、店主が売りたい料理を売る」
といった
「顧客ニーズを無視して、店側主体で行うビジネス」
のことです。
住宅街で開業するなら、ファミリーに人気なメニュー(寿司、ラーメン、焼肉、パンなど)にするなど。
自分の場合、
「カフェっぽい内装で、大好きなタイ料理を食べてもらいたい」
という、自分のやりたいことメインで店舗作りをしていきました。
2024年現在では、これはこれで間違っていなかった部分もありますが、飲食業で言われる「成功のセオリー」から考えると、プロダクトアウトに偏りすぎたともいえますね。
もちろんマーケットインの要素も少しは取り入れていて、
- 市内にタイ料理店は数えるほどしかなかった
- 今後東南アジア料理、特にタイ料理の人気が出てくる可能性がある
- タイ料理屋というと基本的には「現地向きな味付け」なので、「日本人向けにカスタマイズ」すればある程度の需要はあるだろう(タイ料理初心者向け)
- 水面下でパクチーの人気があった(後にパクチーブームが起きた)
など、タイ料理屋で開業することへの「後押し要素」もありました。
ただ12年経営してきて思ったことですが、
「プロダクトアウト、マーケットインのどちらかに偏るのではなく、上手くバランスを取るのが良い」
というのが、現在の心境です。
ちょっと話が逸れますが、自分の中の哲学に
「全てはバランス」
という考えがあります。
これは、この世の全ての物ごと(宇宙、素粒子、人生、運、人間関係、感情…など)には
「バランスを保とうとする力が働く」
という考え方です。
「光と影」「陰と陽」「惑星の形(球)」「原子や分子」「確率」などは、常に中立を保とうとする象徴的なものですね。
いわゆる『宇宙の法則』というものでしょうか。
つまり、プロダクトアウト、マーケットインのどちらかが良いというわけではなく、振り子のように常に揺れながらも「バランスを取っていくのが自然だな」と個人的には考えています。
なかなか難しいことですが、
「自分がやりたいことで、なおかつお客さんが求めている店」
を、開業できるのが理想的だと思いますね(^-^*)
【失敗⑨】資金調達の無理解
失敗9つ目が、
「資金調達の無理解」
です。
これは法人化した後と、キャッシュレス化をした後に実感したことですが、
「資金は借りられるときに借りておいた方が良い」
ということです。
飲食業はなんだかんだ現金商売であり、仕入れ業者も現金支払いの場合が多いです。
お客さんの支払い方法は現金だけではなく、キャッシュレス決済の場合も多いです。(2024年現在、自店では3分の2がキャッシュレス決済)
キャッシュレス決済は、月に1回や2回の振込になるので、手元に現金が入るまでタイムラグが発生します。
そうなると、手元の現金はみるみる減っていき、銀行口座内の資金もギリギリで回ることが増えてきます。
いわゆる「キャッシュフロー問題」と呼ばれるものですね。
うちはクレジットカード決済を多用しているので、まだそこまでヒヤヒヤする感じではないですが、
「なるほど黒字倒産ってこうやって起きるのだなー」
と、キャッシュフロー問題を日々痛感しています。
これを回避するのが、
「手元資金(現金)を十分増やしておく」
というやり方です。
手元資金を増やす方法は色々ありますが、基本的には「金融機関から資金を調達」することによって増やすことができます。
自分はこれまで住宅ローン以外の借金はしない「無借金経営」をしてきましたが(それが良いと思い込んできた)、今思うと
「開業初期、もしくは法人化した時点で資金調達するべきだったな」
と後悔しています。
なぜなら、開業初期、または法人化直後は、実績がまだ無い分、
「資金調達の審査に通りやすい」
からです。
金融機関は「借り手の実績を見て融資するかどうかを判断する」ので、もし赤字続きの会社だったら
「え?この会社、本当に返せるの?」
と思われて融資を行わない可能性もあります。
なので、開業初期の方が資金を借りやすいと言われています。(もちろん開業初期だからといって必ず借りられるとはいえないけど)
新しいチャレンジをしたり、大型機器が破損した場合は、それなりの資金が必要になってきます。
そんな時に躊躇せず行動するためにも、運営資金(現金)は多く持っておく方がいいでしょう。
【失敗⑩】ビジネスモデルの無理解
失敗10個目が、
「ビジネスモデルの無理解」
です。
長年飲食業をやっていて思うのが、
「飲食業のビジネスモデルって、本当にオワコンだな」
ということです。
どこがオワコンかというと、
「必要経費が多すぎて、利益が少ない(少なすぎる)」
というところ。
詳細は「個人飲食店を8年以上経営し続けてわかった飲食業継続が困難な10の理由 主要因は「経費が高すぎて利益率が低いこと」」という記事でも書いています。
また、元々薄利な業種でありながら、昨今の
- 物価上昇による原材料費の高騰
- 円安による輸入食材価格の高騰
- 人件費高騰(最低賃金上昇、人材確保費用など含む)
- 光熱費の上昇
- 備品費の上昇
- 賃金上昇の鈍化(給料が上がらないから外食に使うお金は無い)
などの影響で、薄利がもっと薄利になって、店舗によってはマイナスが続き、これを機に廃業を選ぶ人も少なくありません。
あと個人的に思うことは、
「長時間労働と多大なストレスを伴う割には、利益が少ない」
という点もオワコンだと思っています(^-^;)
特に自分は前職でIT業界にいたこともあり、飲食業とIT業の利益に関しては「真逆のモデル」といってもいいでしょう。
もし開業前に飲食業のビジネスモデルをしっかり理解していれば、今のような「八方塞がり(長時間労働なので他の事業にまでなかなか手が出ない)」にもならなかったことでしょう…。
飲食業で走りだすと、なかなか止まることができないので。。
ちなみに、開業前に「現在の知識と経験」があったら、
「飲食業と平行して行える複業」
を行っていたと思います。
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まとめ
ということで、今回は
「飲食店開業で失敗したこと10選!」
と題して、過去の自分がやっちまったことをご紹介しました。
今回の失敗以外にも、失敗したことはまだまだいっぱいあるのですが、今回は特に印象的なことを10個あげてみました。
※その他の「当時の失敗談」はこちら↓の記事で書いています。
飲食店(タイ料理カフェ)開業1年目にやってしまった「失敗談あれこれ」と「その後の改善策」を公開!
正直、自宅飲食店で開業しているため、「立地選定のミス」「ビジネスモデルの無理解」はもはや致命的ともいえますが(^-^;)、自分の失敗が「これから飲食店(自宅飲食店)を開業したいと思っている方」に役立てば、それはそれで意味があったかなとも思います。
※ちなみに「立地選定のミス」「ビジネスモデルの無理解」以外の失敗は今からでも「軽減、または変更」ができることだとは思っています。
2024年現在、飲食業界は「強力な逆風」が吹いていて、生き残るのが難しく、数多くの淘汰が進んでいます。
日本の人口減少、賃金格差拡大、グローバル視点で見た外部環境の悪化、などを考えると、この逆風は今後ますます強くなっていくことでしょう。
きっと飲食業界は「AIやロボットが発達して、人件費がほぼかからない状況」になるまでは、「薄利な業界」で進むことになるかと思います。
もし少しでも
「利益を確保しつつ、潰れない飲食店を開業したい!」
と思われた方は、是非自分のような「自宅飲食店開業」を検討してみて下さい。
他の記事でも書いていますが、
「自宅飲食店は、99%潰れない飲食店」
です。
※参考までに→「99%潰れない飲食店とは? ●●が廃業しない7つの理由を現役オーナーが解説」
今回の記事が、今後飲食店を開業しようと思っている方に少しでもお役に立てば幸いです。
どうもヨッシー店長です。