
よくネット上で「飲食店を開業するのにいくら必要か?」の問いに、「平均1000万円は必要」という答えが返ってくる場合が多いのですが、この1000万円を自己資金で貯められる人って、そうそういないですよね。
恐らく多くの人が300~500万円くらいを自己資金で用意し、残りの足りない資金は国の「政策金融公庫」などで借りる場合がほとんどだと思います。
つまり開業時から「借金スタート」ということになりますね。
事業を行う上で借金は悪いことではないですが、数百万円の借金をして、飲食業は3年以内に7割の店が廃業することを考えると、「借金の額に見合っていない投資」だと個人的には考えています。

そう考えた時に、
「であれば、自己資金300~500万円以内で飲食店を開業すればいいのでは?」
と思うわけです。
では数百万円の自己資金のみで飲食店を開業する場合、どんな開業方法があるのか?
ということで今回は
「自己資金300万円のみで飲食店を開業する方法」
を考えてみたいと思います。
※最後にヨッシー店長であれば「このパターン」という事例をあげてみたいと思います。
1. ゴーストレストラン(デリバリー専門店)
メリット: 店舗不要・家賃が安い・人件費削減可能
デメリット: 競争が激しい・手数料が高い・ブランド認知が難しい
予算感: 300万円で十分開業可能
項目 | 費用目安 |
---|---|
初期設備投資(調理器具・備品) | 50万円 |
レンタルキッチン保証金 | 30万円 |
運転資金(3ヶ月分) | 150万円 |
UberEats・出前館登録費用 | 10万円 |
その他(許可申請など) | 10万円 |
合計 | 250万円 |
2. 自宅飲食店(小規模カフェ・レストラン)
※既に自宅があるのが条件
メリット: 家賃不要・固定費が少ない・リピーターをつかみやすい
デメリット: 許可取得が必要・客席が限られる・家族への影響
項目 | 費用目安 |
---|---|
改装費(厨房設備・内装) | 150万円 |
備品・食器・家具 | 50万円 |
食材・運転資金(3ヶ月分) | 80万円 |
その他費用 | 20万円 |
合計 | 300万円 |
3. 移動販売(キッチンカー)
メリット: 家賃不要・出店場所を柔軟に変更可能
デメリット: 天候に左右される・駐車場所の確保が必要・初期投資が高め
項目 | 費用目安 |
---|---|
中古キッチンカー購入 | 150万円 |
設備・内装 | 80万円 |
運転資金(3ヶ月分) | 50万円 |
その他費用 | 20万円 |
合計 | 300万円 |
4. 小型テイクアウト専門店(間借り開業)
メリット: 店舗契約不要・家賃が安い・初期投資を抑えられる
デメリット: 営業時間が制限される・オーナーとの関係に依存・独自のブランディングが難しい
項目 | 費用目安 |
---|---|
間借り契約(保証金・初期費用) | 50万円 |
備品・調理器具 | 30万円 |
食材・運転資金(3ヶ月分) | 100万円 |
広告・集客費用 | 20万円 |
合計 | 200万円 |
5. 自宅敷地内で小型テイクアウト専門店
※既に自宅があるのが条件
メリット: 家賃不要・固定費が少ない・初期投資を抑えられる
デメリット: 場合によっては水道、電気、ガスの工事が必要・家族への影響
項目 | 費用目安 |
---|---|
小屋の設置、設備費 | 200万円 |
備品 | 10万円 |
食材・運転資金(3ヶ月分) | 70万円 |
その他費用 | 20万円 |
合計 | 300万円 |
6. ネット通販専門店
メリット: 固定費ほぼゼロ・利益率が高い・在庫リスクなし
デメリット: 信頼獲得が難しい・集客が必要・配送コストがかかる
項目 | 費用目安 |
---|---|
サイト制作・広告費 | 30万円 |
動画・レシピ制作費 | 20万円 |
食材・運転資金(3ヶ月分) | 100万円 |
その他費用 | 20万円 |
合計 | 170万円以下 |
何をやりたいかで変わってくる
上記はあくまでも自己資金300万円のみで飲食事業を行う上での一例です。
飲食店を開業する理由が
- 店舗という箱で、接客を含めた飲食店をやりたい。
- とにかく低リスクで飲食事業を行いたい。
- 場所問わず、自分の作った料理を多くの人に食べてもらいたい。
- 飲食業でお金儲けがしたい。
など、飲食店開業の動機がどこにあるかで、やる業態も変わってきます。
なので、まずは「何で飲食店をやりたいのか?」を考える必要がありますね。

これらの動機を考えたのは今から20年前なので、その頃はまだ「ゴーストレストラン」や「ネット通販」などのインフラはできていなかったですね。
そう考えると現在は開業方法の選択肢が増えたと言えるでしょう。
ヨッシー店長ならどうするか?
ここからは自分がもし今の自店(カフェガパオ)を開業していなく、自宅も無い状況だったら、300万円でどう開業するかを考えてみたいと思います。
※賃貸アパートに住みながら、勤務歴5年以上のサラリーマンをやっていたと仮定します。

①副業で毎月5万円を目指す
飲食業をいきなり始めるのではなく、まずは副業で毎月5万円が入ってくる状態を目指します。(本当は10万円がいいけど)
本業でサラリーマンをやりながらとなるので、副業は「ネットビジネス(YouTube等)」になると思います。
副業を行いつつ、飲食店開業に向けての準備をしていきます。(必要な知識の習得、現場での経験、立地探し等)
②住宅ローンを組む
ベースは「自宅飲食店」で開業する形にします。
自宅飲食店なので「土地と建物」が必要になります。
なので300万円を元手に住宅ローンを組みます。
恐らく1500万円程は借りられるのではないでしょうか?
一旦ここで総資産1800万円とします。
③立地を決める
住宅ローンの借り入れと同時に、自宅となる立地を探します。
立地条件は「自宅飲食店の開業に向いている立地とは?特に〇〇が重要!」で以前も紹介していますが、
- 大型スーパーやショッピングモールが近くにある
- 今後若い世代の人口が増える新興住宅地
- 大型の企業や病院が近くにある
- 有名な観光地が近所にある
- インバウンド需要のある街
- 少子化の中でも人口が増えており、新幹線が停まる都市
- ロケーションだけでお金が取れる場所(『聖地巡礼』含む)
- デリバリープラットフォーム(UberEATS、出前館)対応地域である
できれば上記から3個以上条件が重なる立地を探します。
④中古物件か土地を購入
中古物件を購入した場合
住宅ローンを利用し、1500万円以下の中古物件を購入します。
2階は自宅用、1階は店舗用とします。
土地を購入した場合
住宅ローンを利用し、1000万円以下のまっさらな土地を購入します。
この土地に中古のキッチンカー、コンテナハウス3棟を設置し、自宅飲食店にします。(コンテナ2棟を自宅、コンテナ1棟を客席)
※キッチンカーを導入する理由は、厨房内装工事をしなくて済むのと、もしその土地での営業が上手くいかなかった時に、外へ稼ぎに行けるようにするためです。
コンテナハウスでなくとも、それに準ずるもの(プレハブ住宅、ガレージハウス等)であれば良いと思います。
最低条件として「大型スーパーやショッピングモールが近くにある」はクリアし、駐車場問題はある程度解決していることとして進めます。
⑤業態は複合業態
ベースは自宅飲食店の「イートイン」で開業し、慣れてきたら「テイクアウト」「デリバリー」も始める。
ある程度収益の確保ができるようになったら、本業のサラリーマンを辞め、飲食業に専念する。
店舗がある程度地元で有名になってきたら「冷凍商品販売」や「ネット通販」も始める。(←実績のある店舗の商品じゃないと売れにくいため)
もちろん、これまでずっとやってきた副業も継続する。

収益構造を多角化することによって、コロナ禍のような営業停止状態になっても事業が継続できるように「リスクヘッジ」をしておくことは重要だと考えています。
ちなみに業種(何屋か)は、出店する土地(ファミリー層が多いのか、インバウンドが多いかなど)や、販売する価格帯(高単価か低単価か)などで決める方が良いと思います。

まとめ
ということで今回は「自己資金300万円のみで飲食店を開業する方法」を考えてみました。
今回挙げてきた例の中で完全に自己資金300万円だけで始めようと思うと、ネット通販専門店が現実的ですが、ネット通販は「地域の参入障壁がない(競合店は日本全国となる)」ので、「他にない魅力的な商品である」「店主が有名人」などの競合優位性がないとネット上で売るのは難しいでしょう。
飲食店をやるのが目的であれば、やはり自己資金300万円は「住宅ローンの元手」にした方が良い気がします。(事業用ローンは高いので)
自宅飲食店で開業できれば、店舗家賃は0円なので、あとは住宅ローンを返していけば店舗自体は保持できます。
ちなみにゴーストレストランは都市部の人口密集地で若者が多い街(東京都内など)でないと成立しない業態です。
この記事の途中で「キッチンカーとコンテナハウスを組み合わせる飲食店」も考えてみましたが、このスタイルでやるなら「ある程度広い土地が必要」になりそうですね(^-^;)
でも「安くて広い土地」となると、近隣住民の人口は少ないでしょうから、外部からの流入(観光客等)が無いと難しいかもしれません…。

飲食業は体力的にキツイので、土日祝のみの営業であれば高齢になっても無理なく続けていけそうな気がします。。(…って今更ですがw)
飲食業に限らずですが、どんなビジネスもやはり「一長一短」はありますね。
今回の記事が今後飲食店開業を考えている方のお役に立てば幸いです。
どうもヨッシー店長です。