少し前に行った金沢、去年行った江ノ島、先日行った沖縄もそうだったけど、やっぱり「観光地の飲食店」はある意味最強かもしれない…。季節限定だけどスキー場とかもね。
どうもヨッシー店長です。
先日の記事で声高らかに「個人飲食店の開業講座スタートします!」と宣言しました。
まあ講座と言ってもコンサルタントではないので、あくまで自分の知識と経験を紹介していくだけです(^_^;)
読んでいる方に役立つかどうかは、まだまだ不安なのですが、指摘箇所や質問があれば、お気軽にコメント下さい。
ということで、今回が第1回目の講座となりますが、今回は「飲食店経営のリスクとそのデメリット」に関しての講座です。
どうぞよろしくお願いします。
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飲食店経営の厳しい現実
まず初めに、「飲食店は儲かる」「飲食店は気軽に始めることができる」「開業後に色々勉強していけばいい」と思っている人は、是非その考えを改めて下さい。
飲食業は決して甘くありません。
というよりも、年々その環境は厳しいものになっています。
後述しますが、飲食業は魅力やメリットよりも、圧倒的にデメリットの方が多いです。
そして「超」が付く程ハイリスクです。
これは、5年間飲食業をやってきた自分もそう実感しています。
飲食店の開業は、比較的簡単です。
基本的には、開業場所、食品衛生責任者の資格(6時間の講習ですぐ取得できます)、保健所の許可があれば、誰でも開業することができます。
※資金などその他必要なものを除く
そう、飲食店を開業すること自体は簡単なのです…。
しかし!
開業後、飲食店を継続するのは、至難の業です!
日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)の2006年時点の調査では、飲食店の5年以内の廃業率は24.1%となっています。
データが11年前のものしかないため定かではありませんが、現在は廃業率はもっと増えている可能性があります。
ちなみに全業種の廃業率は15.4%なのにも関わらず、飲食業の廃業率は24.1%。圧倒的に高い廃業率です。
つまり、それだけ「廃業しやすい業種」といえます。
一説によると、
開業から1年未満で閉店する飲食店の割合は約3割、
2年以内で閉店する飲食店の割合は約5割、
10年以内で閉店する飲食店の割合は約9割
ともいわれています。
しかもこの数字は、あくまで「廃業した店の数」なので、「赤字が出ずに利益を上げている店」はさらに少ないはずです。
かく言う自分の店も、家族経営だからなんとかギリギリの利益でやっていますが、他人を雇ったら確実に赤字になります。
また、もし本業にした場合は、「一切の貯金ができない」と自負しています。
上記の結果から、飲食業は「参入しやすいけど、続けていくのはかなり難しい業種」なのです。
飲食店経営のリスク
飲食店の廃業率を高める原因の一つに、以下の”リスク”が関係していると思われます。
経営面、労力面、市場環境に分けてそれぞれ説明していきます。
経営面
初期投資が多額
開業費用はピンキリですが、最低でも数百万円以上かかるのが一般的です。
テナントを借りるのか、自宅の一部を改装するのか、居抜き(前の店の設備が残っている)なのか、スケルトン(コンクリート剥き出しで何もない)なのかでも、その金額は大きく変わってきます。
それ故、日本政策金融公庫などから”借入”する人も多く、開業当初から莫大な借金を抱える人も多いのが実状です。
ちなみにカフェガパオの場合は、スケルトン状態から手を入れましたが、トータル(厨房設備や家具、備品なども含む)で300万程はかかっています。
もちろん開業後も、新規家具、消耗品費、雑費などで、さらに出費は増えました。
売上に限界がある
飲食業の場合、客席数、客単価、滞在時間、回転率、営業時間、営業日数、厨房生産能力、店舗面積、駐車場台数など、大枠が決まっているため、売上高に限界があります。
一例ですが、仮に
「10席×1000円×3回転×1ヶ月26日営業」
が限界の店舗の場合、780000円までしか売上はいきません。
つまりどう頑張っても数百万円以上の売上高にすることはできません。
また、飲食業の特性上、食事のピークの時間帯が決まっている、「食べたら帰って」とはなかなか言えない、客単価は高くても数千円程度…などの理由からも、売上の限界はある程度決まってきます。
莫大な経費
飲食業の経費は以下のものがあります。
店舗家賃、光熱費、原材料費、人件費、備品費、消耗品費、通信費、交通費、害虫駆除費用、店舗広告費、求人広告費、などなど。
売上の約90%がこの経費で使用されるため、利益は10%程です。(10%でも良い方)
経費の中で「固定」費になっているものは少なく、その多くは「変動費」なので、売上予測と実際の売上結果に大きな誤差が生じる可能性があります。(店舗家賃・通信費は固定費、光熱費・人件費はやや固定費だが、それ以外はほぼ変動費となる)
中でも自分が一番”ヤバイ”と思う経費は原材料費で、これは飲食業なので仕方ないですが「食材が腐る」ということは大きなリスクに繋がっています。
食材が腐るということは、つまり「お金をドブに捨てる」のと同じことです。
延いてはその分どんどん利益が削られ、経営を圧迫していくことになります。
システム化が困難
飲食業は労働集約型で、仕事のほとんどが人の手によって行われます。
そのため機械化やシステム化が難しいといえます。2017年現在では。
しかしながら、大手では既に導入されている店舗もありますが、「レジの無人化」や「注文の無人化」は、今後どんどん進んでいくことでしょう。
個人的な予想では、大手チェーン店の最終的に行き着くところは、「自動販売機」になると思っています。
例えば、席に着くとタッチパネルでオーダーし、厨房ロボットが食事を作り、席までロボットが配膳、お会計はモバイル端末で自動決済…
そんな完全オートメーション化する時代がすぐに来るかもしれません。
話が若干逸れましたが、確かに無人化システムによって経費は抑えられますが、それとは反比例して「店の魅力」はどんどん失われていくような気もしています。
所詮、人間はアナログなので…。
「人が作ったご飯を食べたい」「人に接客されたい」というのは人間がアナログである以上、普遍的なことではないかと思っています。(まあこれが変わらないとは言い切れない部分もありますが…)
特に個人の飲食店は、ただ単に食事を食べる場所ではないですからね…。
そういう意味でも、「システム化には限界がある」と思っていた方がいいかもしれません。
利益率に限界がある
上記のような経営体質上、営業利益率にも限界があります。
飲食業では、「利益率が10%出れば良い方」と言われています。
労働内容から考えると、かなり“薄利”だといえます。
さらに前述した「変動する経費」によって、利益が削られていく可能性が大いにあります。
それ故「自分の給料が出ない」なんてことはザラにあります。
働けど働けど、一向に貯金が出来ないということも当たり前にあります。
貯金が出来ない程度ならまだしも、店舗運営すればする程、貧困に陥っていく可能性も十分にあります。
そうなると「何のために飲食店を経営しているのかわからなくなる」場合もあるでしょう。
飲食業は、れっきとした”商売”です。
商売をするならば、しっかりと利益を出していかなければいけません。
飲食店経営者となるならば、この利益率がどういうことなのかを真剣に理解しないといけません。
労力面
休みはほぼ無い
休業すればもちろん売上はないです。
個人店の場合、週1~2日休業がせいぜい。
休日になったとしても実営業以外(経理、メニュー開発、店舗補修など)で時間をとられる場合が多いです。(実質1年間休みがない場合も十分ありえる)
マンパワーに依存するため、病気にはなれないです。
病気で長期休暇した時点で収入が途切れるのはもちろんのこと、客離れが起こる場合もあります。
また、土・日・祝日、GW、夏休み、年末年始なども営業である場合が多いので、家族の理解が必要不可欠といえます。
うちも子供が休みの日はだいたい営業日なので、遠出や旅行はなかなか行けません。
長時間労働
飲食業は基本的に長時間労働をしないと成り立ちません。
仮に営業時間が昼11時~夜10時までだったとしても、その前後の時間も仕込みや片付け等で仕事をすることになります。
1日14時間労働などはザラにあります。
さらに、その長時間労働のほとんどが立ち仕事。
他にも走る、かがむ、背伸び、振り向くなどの動作も多く、慣れていない人は相当過酷な肉体労働といえます。
市場環境
市場は縮小傾向
外食する人は年々減り続けています。
市場成長のグラフでいうと、飲食業界は既に「衰退期」に入っています。
人口減少、少子高齢化が進んでいるので、この傾向は今後も続くことでしょう。
個人的な見解ですが、国内市場は既に飽和状態です。なので、今後は海外市場を含めたグローバルな視野が必要になってくると思っています。
社会環境の厳しさ
2008年に起こったリーマンショック以降、国内の消費は低迷しており、消費者の”財布の紐”は固くなっています。
「生活するだけで精一杯なのに、外食するなんて無理」という人も多いことでしょう。
また、各種原材料費の値上がりや、東日本大震災以降の電気料金値上げなどにより、経営環境はより一層厳しいものになっています。
少子高齢化が進んでいますが、現在の若者(10~20代)は往々にして外食にはお金を使わない傾向があります。
高齢者(60代以上)はお金を持っていると言われていますが、若い人に比べ食事量も減るので、全体の客単価は低いといえます。
競争の激化
市場は縮小傾向にあるものの、逆に新規出店数は増大傾向にあります。
団塊世代の開業ブームや若い世代の独立志向などがそれを後押ししているといえそうです。
また、最初に書いたように、飲食業界の参入障壁は低く、誰でも容易に開業することができるので、いわゆる”第二の人生”で飲食業を選択する人は多いです。
既に大過当競争時代へと突入している飲食業界ですが、今後はさらにその競争は激化していくことでしょう。
業界自体危ういのに、そこで個人の飲食店が生き残っていくには、「その店独自の強み」を持っていないと生き残ってはいけないことでしょう。
今後の講座では、そのような個人飲食店が生き残るための独自の強みの「作り方」もレクチャーしていく予定です。
ということで、今回の講座は「飲食店経営のリスクとそのデメリット」に関して紹介しました。
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