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個人飲食店を8年以上経営し続けてわかった飲食業継続が困難な10の理由 主要因は「経費が高すぎて利益率が低いこと」

飲食業継続が困難な理由
ヨッシー店長
ブラック企業を撲滅させて、「プラック企業(勇気ある企業)」がもっと増えれば日本は変わると思う。
どうもヨッシー店長です。

pluck(プラック)は「引き抜く」という意味の他に、「勇気」という意味もあります。
※『ジョジョの奇妙な冒険第一部』を読んでいる人にはわかるかも…(笑)

 

前回の第1回個人飲食店の開業講座では、「飲食店経営のリスクとそのデメリット」を紹介しました。(詳しくは→「飲食店経営はハイリスクなのか!? 10の経営デメリットを紹介」)

 

前回は、ある種“教科書的な事柄”しか書きませんでした。

実は飲食業には、「もっとヤバイリスク」が潜んでいるのです。

 

今回は11年間飲食店を経営してきた現役オーナーだから語れる「飲食業の継続が困難な10の理由」を紹介していきたいと思います。

ヨッシー店長
自分は現在千葉県柏市にある『カフェガパオ』というタイ料理レストランを2012年から経営しています。(オーナー兼シェフ)

 

記事タイトルからして『もしかして飲食店を経営するって、ヤバイことなの?』と、これから飲食店を開業しようと思っている人に不安を与えてしまうかもしれませんが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」←危険を避けていては大きな成功は得られないという意味。

自分にとって不都合なことや飲食業の”裏側”を知る事は「飲食店成功の第一歩」です。

是非今回の記事で、飲食業の”不都合な真実”を知って頂ければと思います。

 

今回の記事が、これから個人飲食店を開業する方に、少しでもお役に立てれば幸いです。

ヨッシー店長
「自宅飲食店開業」に関しては無料相談も行っているので、興味がある方は「お問合せフォーム」よりメールを送って下さいね(^-^*)

 

自店「カフェガパオ」の情報

まず後述の比較対象のため、自店のスペックを書き出しておきます。
※2019年4月現在の情報です。

 

カフェガパオのホームページはこちらから↓

カフェガパオのホームページはこちらから

 

 

それでは以降より、「飲食業の継続が難しい理由」を説明していきます。

 

その1「飲食業は利益(利益率)が低すぎる」

利益を出していかなければ廃業する

個人飲食店でも一般企業でも「商売をする」ということは、利益を出していかなければいけません。

 

たまに「利益=儲け=金儲け=金儲けだなんてイヤラシイ」と思ってる人もいますが、利益が出なければ人は生きていけません。

自給自足で生活しているわけでなければ、基本的に人間の生活にはお金がかかります。

最低限必要な「衣・食・住」以外にも、税金や保険、その他様々なお金がかかってきます。

 

サラリーマンであれば、利益とは言わば”給料”です。

給料が出なければ生きていけないですよね。

個人飲食店も同様で、利益が出なければ経営維持はできません。

 

そして、利益が出ていないということは「赤字である」ということを意味します。

赤字が続けば、やがてその店舗は廃業を余儀なくされます。

ですので「利益を出していく」ということは、店舗経営にとってとても大事なことなのです。

 

ちなみに個人飲食店の場合、仮に利益が出たとしても、それが全て「経営者の給料」になるわけではありません。(そういう人もいますが…)

余剰で出た利益は、その後の「業績拡大」や「不測の事態への対応」のためにも、残していく(貯めていく)必要があります。

不測の事態とは、「キャッシュフロー問題(利益が出ているのに手元に現金がなく、従業員に給料が支払えない、仕入れができないなどの問題)」「天災・災害」「提携先が倒産する」「景気が急激に悪化する」など、想定してない出来事のことです。
2020年~の新型コロナ流行は、まさに不測の事態といえるでしょう。

経営者にとって「チャンスが到来した時にいつでも投資できる環境を作っておく」「常にリスクヘッジをしておく」ことは、大事な仕事の一つといえるでしょう。

 

飲食業は「薄利多売」を強いられる業態

前置きが長くなりましたが、飲食業はこの「利益」がとても少ない業態です。

 

わかりやすいように「1000円のランチ」を例に出しましょう。

 

飲食業界でよくあるメニューの内訳はだいたいこんな感じです。

 

つまり1000円のランチが売れて店に入る利益は、100円です。

 

飲食業界では概ね「10%の利益が出れば良い」と言われています。

利益の割合でいえば、10%の利益は決して悪くはないと思います。(小売業などもそうなので)

 

ただ、飲食業はどうしても「単価が低い業態」です。

同じ利益率でも、利益(実際の金額)に差が出てくる場合があります。

 

例えば、住宅販売業で利益率10%だとしたら(わかりやすく10%にしています)、1000万円の家を販売したら利益は100万円ということになります。

もちろん住宅は飲食ほど簡単には売れませんが、それでも利益は単純に“1万倍”です。

上記の例だと、住宅販売員が住宅1軒を売る間に、飲食店員は10000食を販売してようやく同じ利益金額になる計算です。

ヨッシー店長
ちなみに1ヶ月で10000食を販売するには、1ヶ月26日間営業するとしても、1日384食販売しないと到達できない数字です。
384食なんて、朝から晩まで行列ができる店じゃない限り、達成はほぼ不可能です。

 

つまり飲食業は、それほど「薄利多売」を強いられる業態ということになります。

 

先程「10%の利益は決して悪くはない」と書きましたが、業態によっては“低い”とも言えます。

例えば、最低でもパソコン代、サーバー代、制作人件費などの経費しか必要ないインターネットビジネスは、利益率が50~90%というのも珍しくありません。(事業所家賃などは除く)

ちなみに、先生、弁護士、コンサルタントなど、「知識を教える仕事」は、基本的に体一つなので利益率は”高い”です。

 

自分はネットビジネスの経験もあるため、その視点から見ると「薄利多売で、仕事量が多く、体力的にもキツイ」飲食業は、同じ利益率10%でも、その仕事内容の質が全然違います。(労働時間が長い割には、得られる利益が少ない)

ネットビジネスは体力的には全然楽です。(※もちろんデメリットもありますが)

この部分に気付いて、個人飲食店の経営者だった人が、コンサルタントやブロガーになるケースも結構あります。(自分は半々といった状態)

 

飲食業は「安定した収入」を得られない業態

また、飲食業はある意味「水商売(収入が不確定な業種)」なので、平均利益率が10%だったとしても、急激に変動して0%になることも珍しくありません。(食材を腐らせた、予約が急遽キャンセルになったなど)

しかも逆に「利益率が急激に20%になる」などはあえりません。(必要経費がある程度固定されているので)

悲しいかな、利益は減ることはあっても、増えることはほとんどありません…。

 

飲食業はビジネス用語でいうと、「ストックビジネス(月額課金制など)」ではなく、常に「フロービジネス(その都度の売上)」といえます。

多くの飲食店はフロービジネスなので、「安定した収入を得られない」といえます。

※「高齢者向け弁当宅配」などは、逆に”ストックビジネス”といえます。

ヨッシー店長
最近『サブスクリプション型飲食店(月額制飲食店)』なども出てきてはいますが、”食材”という据え置くことができないもの(腐るもの)を扱っている性質上、確実に安定して利益が得られるとはいいがたいです。(←月額で支払っている以上『今日は食材が切れちゃって…』などは言えなくなるので、その分食材ロスが発生しやすくなるため)

また、サービスに飽きられて顧客が減ったとしても、一度月額制を始めたら継続しなくてはなりません。(←導入している企業はここら辺どう考えているんだろう?)

 

上記の理由から、飲食業は「利益が少ない業態」といえます。

利益の少ない業態は、「廃業しやすい業態」ともいえます。(利益が少ないと赤字に転じやすいので)

つまり、飲食業は廃業しやすい業態なのです。

 

カフェガパオの内訳例

ちなみに、先程の1000円ランチの例をうちの店に当てはめると、こんな感じの内訳になっています。

 

スタッフが家族なので人件費をだいぶ抑えられます。

その分、食材費に予算をかけて、お客様に還元する形をとっています。

今のお客さんは舌が肥えている人が多いので(もちろん味覚は主観でしかない)、食材原価が300円なのか500円なのかで、かなり顧客満足度が変わってくると思っています。

当店は常連さんが多いのですが、常連さんになってくれる理由の一つは「顧客満足度の部分が大きい」と自分は分析しています。

いわゆる「コスパが良い」いうやつです。

ヨッシー店長
「カフェガパオがコスパが良いと言われる理由」は、以下の記事にも書いていますので、よかったら読んで下さいね。
カフェガパオはなぜ安い(コスパが良い)と言われるのか?安くできる5つの理由【2018年改訂版】

 

その2「飲食業だけでは経済的余裕のある生活は無理」

次もお金絡みの問題ですが、前述した通り飲食業は「利益が低くなりがちで不安定」です。

そのためビジネス構造的には、飲食店オーナー(またはスタッフ)の給料は、必然的に低くなります。

※飲食業界で給料が大きく稼げていたのは、00年代までの話です。

 

個人飲食店の場合、しっかりと自分の給料が確保できているオーナーさんは全国でどれくらいいるのでしょうか…。

はっきりとは言い切れませんが、2019年現在、個人飲食店のオーナーで「しっかりと給料が出ていて、且つ給料以外に貯蓄ができている人」は、かなり少数ではないでしょうか…?

自分の知り合いの飲食店オーナーたちで上記を満たしている人は、残念ながら誰一人いませんでした。(自分を含め)

 

『経営はここのところずっと厳しいよ…』という声多数です。

『どうにか飲食店営業以外の収入も作っていかなくちゃならんね…』という声も聞きます。

こんな身近な声からも、やはり飲食店経営のみでは「経済的に余裕のある生活は難しい」というのが実状だと思います。

 

ヨッシー店長
現状から抜け出すためにも、飲食店オーナーさんは「ブログ」をやるのもいいかもしれません。参考までに↓
副業ブログで初心者がまずは月1万円を稼ぐ方法は? ヨッシー店長流ブログ収益の作り方【2018年版】

 

その3「体力に依存、休みはまずない」

飲食業は、営業した日数・時間で売上が決まってくるので、常にマンパワーに依存するビジネスモデル(労働集約型)です。

ですので、営業予定日はよっぽどのことがない限り休めません。

「休み=損失」となりますので。

ヨッシー店長
もしかしたらインフルエンザになっていても営業しちゃうような個人飲食店があるかもしれません…。

 

そして全ての仕事を、体力に依存しています。

体力が落ちてきて、十分な仕事ができなくなってくれば、その分、売上げや利益は下がっていきます。

ある意味で飲食業は、「歳を取るにつれ、体力的にも、経済的にも、どんどん辛くなっていく業態」だといえます。

ヨッシー店長
定年無しでずっと働けるのはいいのですが…(^-^;)

 

仮に「週1日休業、1日14時間労働」だった場合、常に一定のパフォーマンスを出しつつ、病気もせず、高齢になるまで現役でやれる人は、どの程度いるでしょうか…。

現在高齢でずっとオーナーをやられている方は、高度経済成長やバブル期、外食産業バブルも経験してきたと思います。

体力は落ちてきたとはいえ、過去の”レガシー”があった分、高齢になるまではなんとか持ちこたえられた部分もあるのではないでしょうか。

 

しかしながら、これから高齢になっていく20~40代はどうでしょうか?

介護を必要とせず一人で身の回りのことができる寿命、いわゆる「健康寿命」もどんどん延びています。

 

また、20年以上も不況が続き、日本経済はもはや衰退期に入ったと言わざるを得ません。

 

レガシーがなく、健康寿命が延びていく環境下では、高齢になる前に力尽きる飲食店オーナーは、今後続出していくと思われます。

 

その4「病気になっても保証がない」

これはどんな仕事にも共通して言えることですが、「人の替え」は難しいところです。

サラリーマンの場合、人の替えは難しいかもしれないですが、仮に休んだとしても給料が減るということは基本的にはありません。(一部例外を除く)

しかし個人飲食店の場合、休んだら休んだ分、売上は発生しません。

当然給料も入ってきません。(当たり前のことですが…)

 

1日2日休むならまだ良いのですが、大病などをして長期休業する場合は、死活問題になります。

長期休業は実質的な売上げが減るだけでなく、それまで抱えていた常連客が離れていく可能性があります。

ですので、飲食業に携わる限り「体調コンディションを整えること」は大事な仕事の一つといえます。

病気になっても保証がない以上、病気にならないようにするしかありません。

ヨッシー店長
自分は健康維持・体力維持のために、週1回は近所の手賀沼を走るようにしています。
飲食業は動く仕事ではありますが、それとは別にストレッチ運動、有酸素運動、発汗、下半身の筋力トレーニングを取り入れることは大事だと感じています。

 

その5「飲食店の開業費は高すぎる」

飲食店の大きなリスクの一つに、「開業資金が高すぎる」というものがあります。

開業費用はピンキリなので一概に「これくらいかかる」というのは言えませんが、通常数百万~数千万単位で開業資金が必要になってくるといわれています。

ここでは架空店舗の一例と、自店カフェガパオの開業費用を紹介したいと思います。

 

架空店舗の場合

とします。

保証金 300万円
礼金 30万円
仲介手数料 30万円
前家賃 30万円
厨房機器費 100万円
看板施工費 20万円
内装・設計費 150万円
求人広告費 10万円
販売促進費 40万円
備品費 30万円
合計 740万円

以上は架空店舗とはなりますが、概ねこれくらいの資金は必要になってくるかと思います。

 

カフェガパオの場合


次は自店カフェガパオの場合です。

となっています。

保証金 0円
礼金 0円
仲介手数料 0円
前家賃 0円
厨房機器費 40万円
看板施工費 5万円
内装・設計費 150円
求人広告費 0円
販売促進費 0円
備品費 20万円
合計 215万円

前述の架空店舗に比べると、約1/3の資金で開業ができました。

自宅飲食店(店舗併用住宅)の場合は、テナントのように保証金や礼金などが必要ないので、この部分でもだいぶ資金が抑えられました。

また、自分の場合は前職でデザインやウェブ関係の仕事をしていたので、自分で作れるものは全て作るようにしました。(ホームページ、看板、チラシ、メニューブック等)

ヨッシー店長
テナントで開業する場合、開業準備期間も家賃は発生するので、各販促物を自作する場合は開業する半年以上前から取り掛かりたいところです。

 

ということで2つ例をあげてきましたが、

位はかかると考えておいた方がいいでしょう。

 

『コロンブスのたまご』という飲食業のコンサルティング会社のページに「開業資金、運転資金簡易シミュレーションシート」というエクセルファイルがあるので、そちらも参考にするといいかもしれません。(ページの下の方にあります)
コロンブスのたまご

 

2020年に急激に増加した「ゴーストレストラン」というビジネスモデルは、開業費がめちゃくちゃ抑えられます。

なぜ抑えられるかというと、「厨房しかない」からです。

ただしゴーストレストランにもデメリットがあるので、一概に「開業するならゴーストレストランが良い」とは言えません。

ゴーストレストランのメリット・デメリットは↓の記事をご覧下さい。


ゴーストレストランのメリット・デメリットを、飲食店経営者目線で考えてみた

 

その6「飲食業は経費が高すぎる!特に人件費」

前回の講座「飲食店経営はハイリスクなのか!? 10の経営デメリットを紹介」でも紹介しましたが、飲食業はとにかく経費が高いです!(売上の約90%が経費)

経費には、店舗家賃、メニューの原材料費、光熱費などがありますが、中でもダントツに高いのが「人件費」

つまりスタッフの給料です。

 

前述したように飲食業は「労働集約型のビジネスモデル」のため、スタッフが居ないと成り立ちません。

なので、どうしても人件費は高くなりがちです。

さらに昨今、スタッフの募集をかけても集まらないこともあり、一人当たりの人件費は昔よりも高騰しています。(時給を上げないと応募が来ないので)

大手も四苦八苦していますが、中小規模の個人飲食店はさらに厳しい経営環境といえます。

 

ちなみに店舗家賃は、テナントなどの「賃貸」か、自宅などを改装した「持ち家」かで、相当差が出てきます。

ヨッシー店長
自分は総合的なリスクヘッジを考えた場合、「飲食店経営をしたい人は、持ち家(自宅飲食店)でやった方がいい」と思っています。

その理由は以下のページでも紹介していますので、よかったら参考にしてみて下さい。


自宅を改装して飲食店を開業!現役タイ料理カフェオーナーが自宅飲食店のメリット・デメリットをまとめてみた

 


新型コロナの外出自粛で改めて感じた自宅飲食店のメリット5個!飲食業で廃業しないためには固定費を極力抑えることが重要

 

その7「現在の飲食業界はスタッフが集まらない」

現在、飲食業界は人手不足に苦しんでいます。

人手不足の理由は「少子高齢化」の影響があるとは思いますが、自分が考える一番の原因は
「若者が飲食業を毛嫌いしている」
という点。

仕事量の割りに給料が少ない、ブラックバイトやブラック企業は飲食業界に多いイメージ、そもそも人(お客)とコミュニケーションを要する仕事に就きたくないなど、様々な要因が考えられます。

それ故、都内の飲食チェーン店では、外国人労働者の数が目立ちます。

ヨッシー店長
ちょっと話が逸れますが、現在日本政府はこの穴埋めを外国人労働者でなんとかしようとしていますが、これは恐らく簡単には解決しないでしょう。

なぜなら、外国人労働者は”ロボット”ではありません。同じ感情ある人間です。

日本人が毛嫌いしている職種に、進んで就くわけがありません。(余程の目的や理由が無い限り)

 

最近はSNSを使って外国人労働者間で『飲食業界はブラックだよ』と情報共有されているらしいです。

経済的メリット(数年日本で働けば自国で家が建てられるなど)も、今の日本にはほとんど無いでしょう。

こうなってくると、当てにしていた外国人労働者も飲食業界に来ない可能性は高いです。

 

自分に置き換えれば、よくわかると思います。

海外に出稼ぎに行って、その職場が現地人も嫌う労働環境だったら、他の職、もしくは他の国を選ぶことでしょう。

 

そもそも労働力を”コスト”として考えること自体が間違いです。(政府も飲食業界も)

外国人労働者は都合の良い”穴埋めロボット”ではありません。

全ての人にリスペクトが必要です。

 

知り合いのオーナーの一人は、「求人広告に20万出したけど、一切応募が無い…」と半ば諦め顔で話していました。

自分は旧ブログで「飲食業界は”ツケ”を払う時代が遂にきたのかも」という記事で書きましたが、業界全体で従業員に対して”作業ロボット扱いしたツケ”が今になって返ってきたようにも思っています。

作業ロボット扱いしたツケとは、「従業員を低賃金で雇い、『代わりはいくらでもいる』と従業員を使い捨て、現在人不足で苦境に立たされていること」を指します。
飲食業界やコンビニ業界などが大きな例です。

 

今後も人材の確保は難しくなることでしょう。

ですので、今後個人飲食店を開業したい人は「いかに少人数で営業できるか」を考えながら開業計画を進めることをお奨めします。

カウンター6席くらいで、高単価商品を出す飲食店が理想的かもしれませんね。(カウンター寿司屋はある意味理にかなっているかも)

 

『一人焼肉』のようなビジネスモデルも今後増えていくかもしれません↓

「焼肉ライクを参考に「1人焼肉のビジネスモデル」を分析してみた!高利益を生み出すその仕組みとは?

 

ヨッシー店長
ちなみに自分は「一人でも飲食店を経営する方法」を実践しています。(キッチンカーではないです)
参考までに→「新事業形態「ランチボックス営業」開始から半年経過 その後事業はどうなったのか!? 現状と感想を店主が告白します

 

その8「運転資金が最低でも半年から1年は必要」

個人飲食店をオープンすると、最初はその物珍しさから足を運ぶお客さんも多いのですが、数ヶ月もするとオープン当初に比べて客足は減ります。

通常、ここで一旦売上げが停滞する場合が多いです。

さらにここから先、常連客や新規客が定着していくまでには、かなりの時間を要します。(一般的に)

恐らく売上げが安定するのには、最短でも半年から1年はかかるのではないでしょうか…。

ヨッシー店長
ちなみにカフェガパオの場合は、オープン時に広告などは一切せずひっそりオープンしたので、お客さんが定着するまでに1年半かかりました。(それでも早い方だとは思うけど…)

 

つまり、オープンから1年間は「ほぼ利益がないのを覚悟する」ようでないと、飲食業の経営は厳しいです。

それはイコール「そこまでの運転資金が必要」ということを意味します。

運転資金とは、利益が出ていなくてもお店を続けていける資金のことです。この運転資金には「自分の生活費」も入ります。

 

現在、ここを乗り越えられないで潰れていく個人飲食店が後を絶ちません…。(開業から3ヶ月後に資金ショートする場合もあります)

開業資金に既に数百万円かかっていて、なおかつその後の余裕な資金も用意しないといけないというのは、飲食業は本当に厳しい業態だと思います。

 

その9「お客さんがデフレ価格に慣れすぎている」

これは地方都市で特にそうですが、デフレ時代が長かったせいか、飲食店の価格に関してはみんな敏感です。

メニューに「価値がある」と判断されれば多少高くても来店はありますが、現在のお客さんは「なるべく失敗したくない(損したくない)」という心理が強いため、価格が高いとそれが障壁になって来店も億劫になりがちです。

自分もそうですが、Googleや食べログなどで評価を調べるのは、そういう心理が影響しています。

 

そして、デフレ経済が続いて「飲食店のご飯の価格(低価格)はこれくらい」というのが、染み付いてしまっている感じがあります。

以前このブログで「ランチボックス(弁当)を750円で販売します」ということを発表したことがあるのですが、『750円は高いのではないでしょうか?』というご意見を頂いたことがあります。

たしかに「弁当が750円」と聞くと高く感じる方も多いかもしれません…。

ヨッシー店長
実際は全て手作りのおかずなので、個人的には750円でも安いとは思っています。(※2024年現在は840円)

この「高く感じる」という部分が、デフレ経済が続いて定着してしまった”感覚”なのだと思います。

 

そう考えると、最初は低価格で始め、ある程度クチコミが広がった時点で価格を上げるやり方が良さそうです…

が、飲食業では「値段を下げるのは簡単ですが、値段を上げるのはかなり難しい」です。

なぜなら定着しているお客さんは「その価格で価値を感じている」可能性があるから。

ですので、価格ではない部分でその店の”価値”を見出していかなくてはなりません。

 

ちなみに自店のカフェガパオも同様に、最初は低価格設定で敷居を下げ、クチコミや常連さんが付いた後で値上げを実行しました。

とはいっても、価格を上げたのは営業スタートしてから4年半後ですが…。

もちろん値上げにはきちんとした理由を明記・お知らせした上で行いました。(←ここはとても重要です)

もし何も理由を明記せず、「ただ単に価格を上げた」とお客さんに思われた場合は、かなりマイナスイメージになることでしょう。

 

その10「集客の詳細分析ができない」

大手飲食チェーン店の場合、POSレジの導入などで、顧客情報をある程度分析することは可能です。

ただ、POSレジも完璧ではないので、データ分析ができる範囲はある程度限られます。

大手でその程度ですので、個人飲食店では分析できる範囲は、もっと狭いものになりがちです。

 

うちの店の場合でも「あれ?今日はなんでこのメニューやたら出るんだろ?」と思ったときに、「どこかのテレビでやってたのかな?」と思いリサーチしてみたら「王様のブランチでやってた」ということもありました。

ただ本当にそれが正しいかどうかはわからず、あくまでも”予想”にしか過ぎません。

 

これが、例えばネットショップの場合、様々な顧客情報を分析することが可能です。

性別、年齢、住所、来店動機、来店時間、買い物ルート、買い物履歴、実際購入したもの、顧客満足度、来店頻度など…、多数の情報を得ることができます。

 

残念ながら飲食業はアナログな業態なので、分析できる範囲はどうしても限られます。

どうしても詳細分析をしたい場合は、これもアナログですが「テーブルにアンケート用紙を置いておく」という方法が意外と有効です。

料理提供までの待ち時間に書いてくれる人は結構います。

ヨッシー店長
自店でもアンケートを実施して「性別、年齢、認知方法、来店動機、来店頻度、顧客満足度、改善点」などを知ることができました。

カフェガパオのアンケート用紙
※拡大できます。

 

まとめ

ということで、今回の講座では「飲食業継続が困難な理由」を紹介してみました。

今回の記事を大雑把にまとめると、こんな感じです。

 

  1. 飲食業は利益(利益率)が低すぎる→10%の利益が出れば良い方、薄利多売を強いられる業態
  2. 飲食業だけでは経済的余裕のある生活は無理→ビジネス構造的にスタッフの給料は必然的に低くなる
  3. 体力に依存、休みはまずない→休み=損失となるので、よっぽどのことがない限り休めない
  4. 病気になっても保証がない→病気になって休んだら売上は発生しませんし、当然給料も入ってきません
  5. 飲食店の開業費用は高すぎる→安く済ませたとしても200万円以上、小規模個人飲食店でも6~800万円以上はかかってくると思っておいた方がいい
  6. 飲食業は経費が高すぎる!特に人件費→飲食業は労働集約型なので、人件費は高くなる傾向がある
  7. 飲食業はスタッフが集まらない→現在飲食業界は人手不足、スタッフ募集してもなかなか集まらない
  8. 運転資金が最低でも半年から1年は必要→オープンから1年くらいはほぼ利益がないのを覚悟する必要あり、運転資金が重要
  9. お客さんがデフレ価格に慣れすぎている→「飲食店のご飯はこれくらいの価格(低価格)」というのが染み付いている
  10. 集客の詳細分析ができない→ネットショップのように「どうやって店に来たのか」の詳細分析ができない

 

参考になりましたでしょうか?

 

2回続けて「飲食業を継続させることは難しい」とお伝えしてきました。

これは、経験者だからこそ伝えられるある種の”警告文”です。

ヨッシー店長
ちなみに、三戸政和さんの「飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている」という記事でも上記のような内容が説明されています。

「お手軽に飲食業を始めると、大変なことになりますよ」と強くお伝えしたく、あえて2回に渡って講座を行いました。

今回の講座内容が参考になれば幸いです。

 

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