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2019年のトレンドキーワードの一つに『キャッシュレス』という言葉があります。
政府が推進していることもあり、メディアで取り上げられる機会も増えていますね。
世間的には、2018年の年末に『PayPay』が大々的なキャンペーンを行ったことが、その引き金になったように感じます。
2019年上半期は、各企業の『○○ペイ』が乱立し、まさに「スマホ決済の群雄割拠時代」となりました。
このキャッシュレスの波は、飲食業界にも影響を与えています。
PayPayをはじめとする『QRコード決済』は、キャンペーンで初期費用や決済手数料が無料ということもあり、個人飲食店でも導入する店舗が増えています。
そんな流れの中、うち(カフェガパオ)では、まだキャッシュレス化を導入していません。
理由は、
- 決済手数料が高い
- 導入するメリットが感じられない
というのが主な理由。
特に「導入するメリットが感じられない」の存在は大きいです。
しかしながら…、「そうも言っていられない事態」になりそうな予感がしています…。
先日書いた「PayPay(ペイペイ)は田舎の飲食店で導入するべきか? 結論「検討が必要」 なぜか?」という記事では、QRコード決済に関しては「検討が必要」という答えを出しましたが、この2ヶ月の間に動向が変わってきました。
結論からいうと、「キャッシュレス化をせざるを得ない」といった状況になりました。
さて、その理由とは…?
今回のキャッシュレス化に関しての記事は、前編と後編に分けて書いてみたいと思います。
前編は「個人飲食店のキャッシュレス化によるメリットとデメリット」を解説していきたいと思います。
地方の個人飲食店で、キャッシュレス導入を迷っている方に、今回の記事がお役に立てば幸いです。
カフェガパオの現状
初めにうちの現状を書いておきます。(2019年7月現在)
- 法人化していない個人の飲食店
- 首都圏郊外(千葉県柏市手賀の杜)に位置する
- 顧客は地元の人が多く、観光客はあまりいない
- 客単価は平均1000円程度
- 薄利多売の営業スタイルで、利益率は低め
- 決済方法は、現金支払いのみ
- レジは『Airレジ』を利用、iPadにて売上管理(Airレジはレジ機能のみ利用)
- キャッシュレス化は即時導入可能だが、現在はまだ実装していない
うちは田舎ですが、田舎にもキャッシュレスの波は確実に来ています。(周りでもPayPayを導入している店舗がちらほらあります)
たまにお客さんから『カード使えますか?』『支払いは現金のみですか?』などの声も聞きます。
Airレジの決済システム『Airペイ』にも登録しているので、すぐにでもキャッシュレス化が導入可能です。
Airペイの詳細はこちら↓
店舗決済システムAirPAY
しかしながら、キャッシュレス化の導入は、現在「様子見状態」です。
理由は前述したように「導入するメリットが感じられない」ため。
「PayPay(ペイペイ)は田舎の飲食店で導入するべきか? 結論「検討が必要」 なぜか?」という記事でも書きましたが、観光地でもない田舎の個人飲食店では、キャッシュレス化によるメリットは薄く感じています。
では「飲食店のキャッシュレス化によるメリットとデメリット」はどんなものがあるのでしょうか?
以降、詳細を解説していきます。
飲食店のキャッシュレス化のメリット
レジ業務の効率化
まず挙げられるメリットは、「レジ業務の効率化」という部分。
これは現金を扱わないため、お客さんが財布からお金を取り出したり、釣銭を返すなどの手間が減ることによって「時短」に繋がります。
時短になるということは、結果的には「人件費削減」に繋がります。
大型店舗やお客さんの回転が早い店舗などでは、この”時短”は特に大きなメリットになります。
衛生面の問題が減る
次に挙げられるメリットは、「衛生面の問題が減る」という部分。
現金には、基本的に雑菌が付着しています。
そのため現金を触る機会が減れば、その分「衛生面のリスク(食中毒など)の軽減」「従業員の手洗い作業の軽減」などに繋がります。
来店機会の増加
観光地やインバウンド(外国人観光客)需要の多い地域の場合、キャッシュレス決済が出来ることで「来店機会が増加する」と考えられます。
特にインバウンドが多い地域では「キャッシュレス決済ができるかどうか」は、店選びの基準の一つになると思われます。
ただし飲食店の選定基準は「決済方法」よりも「メニュー内容や評価」で判断される場合が多いので、上記はあくまで選定基準の一つに過ぎません。
実際うちで集計しているアンケートの結果からも、『メニュー内容が気になった』『知人の紹介』『ネットのクチコミを見て』など、飲食の観点から店選びをしている人がほとんどです。
客単価の増加
店舗でキャッシュレス決済ができる場合、財布の中を気にしなくていいので、客単価が増加する傾向があります。
特にクレジットカード決済やQRコード決済の場合は「後払い」になるため、客単価増加に期待が持てます。
ただし飲食店の場合、“食べられる量に限界がある”ため、極端な客単価アップは望めないでしょう。
できれば調味料やお土産などの「物販」が、飲食とは別にあるといいかもしれないですね。
会計ミスの防止
キャッシュレス化されていれば、「お金の渡し間違い・数え間違い」などのトラブルが無くなります。
特に「日本円に不慣れな外国人スタッフの負担」は、かなり減るでしょう。
また、キャッシュレスの会計システムが「軽減税率」に対応していれば、税率ミスなども無くなると思われます。
レジ締めが不要
キャッシュレス化されていれば、レジ締め(レジの中の現金を数えて売上と間違えていないかをチェックする業務)が無くなり、余計な業務が減ります。
これはつまり、「人件費削減」に繋がります。
それでも現金を数える手間やコストは、キャッシュレス化を進めた分だけ減るのでメリットといえます。
現金の保管や移動が不要
現金を扱っている場合、店舗で保管したり、口座振込のために移動させたりする必要があります。
キャッシュレス化されれば、これらの業務が無くなり、安全面(盗難)が確保され、余計な業務(口座振込の手間)が減ります。
現金が無ければ、スタッフの横領なども防止することができます。
また、後述しますが、レジのシステムが使えなくなった非常時には「現金が無いと営業ができない」ことになります。
そういう意味では最低限の現金は用意しておく必要があるでしょう。
飲食店のキャッシュレス化のデメリット
初期費用がかかる
電子マネーやクレジットカード決済の場合、それらを読み取る決済端末が必要になります。(QRコード決済の場合は、スマホやタブレット端末があれば決済可能)
つまり初期費用が発生します。
通信環境がない場合は、それらを整備する費用もプラスされます。
キャッシュレス化する場合、まずはこれらの初期費用(初期投資)がしっかり回収出来るかどうかを考える必要があります。
正直無料じゃなければ購入してなかったでしょうね…(^-^;)
※2019年8月現在、まだ無料キャンペーンはやっているようです。
決済手数料がかかる
キャッシュレス導入後に発生する「決済手数料」は、飲食店経営者にとって“大きな悩みのタネ”だといえます。
何故なら飲食業は、基本的に利益率の低い業態です。
概ね「売上の5~10%の利益が出れば良い方」だと言われています。
2019年現在、多くの個人飲食店では5~10%も出ていない店舗がほとんどでしょう。廃業数から考えてもそれを物語っていると思います。
そんな状況で
- クレジットカード決済の手数料は3~5%程
- 電子マネーの手数料は3~4%程
- スマホ決済(QRコード決済など)の手数料は0~4%程(0%はキャンペーンなどで)
と、少ない利益から更に上記の手数料が引かれることになります。
そうなると「利益無し」になる事も十分にありえます。
現在QRコード決済を扱う各社で『決済手数料無料!』のキャンペーンなどもやってはいますが、そのほとんどが期間限定であり、いずれは決済手数料が発生することになります。
飲食店経営者がキャッシュレス導入を躊躇している一番の理由が、やはりこの「決済手数料問題」だといえます。
デフレが長引いて『飲食店で支払う金額はこれくらい(安価)が妥当』というイメージが世間で付いてしまい、値上げもなかなかできないのが現状なので…。
現金が手元に残らない
キャッシュレス化すると手元に現金がなくなるので、急な出費や仕入れに対応できなくなる場合があります。
いわゆる「キャッシュフロー問題」です。
仕入れ先にもよりますが、街の八百屋や肉屋では、現金払いしかできない店舗も未だに多いです。
そのような店舗から仕入れを行う場合は、現金が必要になります。
そうなると、今度はお金を引き出す手間が発生したりします。
また、クレジットカード会社などの売上入金のサイクルがズレると、最悪仕入れが出来なくなる可能性もあります。
飲食業は「仕入れありきのビジネスモデル」なので、仕入れが出来なければ話になりません。
現金主義なので、上記のキャッシュフロー問題も起こりづらく、急な出費にもすぐに対応する事ができたからです。
ちなみにクレジットカード決済は「2週間~1ヶ月後入金」の場合が多いので、キャッシュフロー問題が起きやすいと言われていますが、QRコード決済は「数日後入金」の場合が多いので、キャッシュフロー問題が起きにくいと思われます。
ただ…、個人的には「1ヶ月程度の入金が送れたくらいでキャッシュフロー問題が起きるようなら、個人飲食店としては経営破綻」しているようにも思います…。
セキュリティ管理が必要
キャッシュレス導入後、現金の管理は無くなりますが(実質的には無くならないが)、今度はキャッシュレスシステムの「セキュリティ管理」をする必要が出てきます。
具体的にいうと、
- キャッシュレスシステムのID・パスワードの管理
- 利用端末のウイルスセキュリティ
- QRコードの不正利用防止施策
など。
もし管理している情報が外部に流出した場合、現金よりも大きな被害が出ることも想定されます。
例えば泥棒に入られて、現金なら被害はそこにあった現金のみで済みますが、キャッシュレスシステムのデータを盗まれた場合、そこから紐付けされている各種データにアクセスされ、被害が大きくなる可能性もあります。
キャッシュレス導入後は、それらのセキュリティデータを保管管理する責任が出てきます。
スタッフの教育が必要
キャッシュレス導入後、必ずやっておくことがあります。
それは、「スタッフの教育」です。
キャッシュレス決済の仕組みを理解させるのはもちろんのこと、使用方法、トラブルが起きた時の対応策をしっかり教えなければなりません。
この教育時間は「それなりに時間が取られる」と思った方がいいです。
特にスタッフに高齢者が多い場合は、かなり時間を割かれる可能性があります。
説明に時間が取られる可能性がある
キャッシュレス決済に慣れていないお客さんの場合、レジ前で説明をする機会が増え、その分接客時間が増える可能性があります。
特にQRコード決済に関しては、まだまだ国内での利用率・経験値も低く、導入時期が早い店舗程、接客時間が増える可能性があります。
決済方法が無くなる可能性がある
何かの災害が起き、長期間停電した場合、決済端末の電池が切れたらその時点で“決済システムが利用できなく”なります。
災害時はイレギュラーではありますが、何かの影響で決済端末が壊れる、電池がすぐに無くなる、キャッシュレス決済システム自体が利用できなくなる、などのトラブルが発生すると「決済方法が無くなる」ので、営業自体ができなくなります。
「決済方法が無くなる」というのは、商売をする上ではかなり大問題で、現金決済ではありえない“キャッシュレス決済特有の問題点”です。
こういう時のためにも、多少の現金は用意しておくことが必要になるでしょう。
特に”地震大国”である日本に住んでいる以上、決済端末が利用できなくなった時の対応も考えておく必要があります。
「資産があっても何も買えない」なんていう状況もありえます。(2018年9月の北海道地震が既にそうだった)
可能性は低いが、お客さん側で支払いができなくなる可能性がある
これはスマホ決済(QRコード決済など)に限りますが、もしお客さんのスマホの充電が切れ、スマホが使えなくなった時、支払いができなくなる可能性があります。
『え?そういう時は店で充電すればいいのでは?』という声も聞こえてきそうですが、必ずしもお客さんの端末の充電ケーブルが店舗にあるとは限りません。
iPhoneの充電ケーブルしかない店舗の場合、Androidスマホの充電はできません…。
充電し終えるまでお客さんは帰れないので、店舗営業の回転率にも影響が出てくるでしょう。
こんな状況になったら現金で支払う人がほとんどだと思いますが、発生確率はかなり低いですが、上記は”起こり得る事象”だと思います。
結局現金との二重管理になる
前述した通り、キャッシュレス決済は”決済システムに依存”しているため、停電や端末トラブルが起きた場合「決済ができなくなる」可能性があります。
キャッシュレス決済が”デジタル”とするのであれば、バックアップのためにも”アナログ”の現金決済を残しておく必要があります。
つまり現在の日本では「完全キャッシュレスはほぼ不可能」だといえます。
これは結果的に「キャッシュレス決済と現金決済の二重管理が必要」ということになります。
キャッシュレス決済で効率化は望めますが、手間が増える側面も存在しています。
小さな飲食店の場合、キャッシュレス決済の効率化と手間を天秤にかけて判断することになるかもしれません。
飲食店のキャッシュレス化のメリット・デメリットまとめ
ということで今回は「飲食店のキャッシュレス化のメリット・デメリット」を、飲食店経営者目線で分析してみました。
政府主導でキャッシュレス化の波は確実に来ています。
インバウンド需要のある店舗では“キャッシュレス化は必須”ともいえるでしょう。
ただ、そうでない田舎の個人飲食店の場合、キャッシュレス化が必須かどうかは、まだ「判断しかねる状況」ともいえそうです。
なぜなら「店舗側には実質的なメリットがほぼ無い」からです。
現状では「店舗側は仕方なくキャッシュレス化している状況」といえそうです。
キャッシュレスは、利用ユーザーにとってはお得なことが多いですが、店舗側は負担することが多いのが現状。
政府はキャッシュレス化をさらに推進していきたいと考えていますが、「店舗側ばかりが損をする構造」が変わらないと、キャッシュレス社会を広げていくのは難しいと思います。
特にうちのような田舎の個人飲食店などでは、このままキャッシュレス化が進んでいけば利益が圧迫され、やがて廃業に追い込まれることになるでしょう。
国は「期間限定で手数料軽減措置」なども行う予定ではありますが、もしそれらの軽減措置が終了した場合、「消費税10%+キャッシュレス決済手数料数%を負担」することになります。
利益率10%以下(10%あればだいぶ良い方)の飲食業は相当厳しい状況になることが予想されます…(-_-;)
果たして田舎の個人飲食店のキャッシュレス化は、「吉と出るか、凶と出るか」…?
そして、オープニングにも書きましたが、「そうも言っていられない事態」になりそうな気がしています。
次回は、これだけキャッシュレス化にデメリットを感じている自分が「キャッシュレス化を決意した理由」を紹介していきたいと思います。
ちなみに、もしキャッシュレス化を進めたい場合は、個人的には「AirPAY」がおすすめです。
なぜなら様々な決済方法に対応しているので。
うちもキャッシュレス化に移行する時はAirPAYで進めたいと考えています。
後編はこちらから「田舎の飲食店店主が遂にキャッシュレス化を決意した理由!「5%ポイント還元!」が世間に与えるイメージは予想以上にデカイ!」
どうもヨッシー店長です。