前回の「タイ料理弁当屋を1年半経営した結果ワンオペレストランに進化!? 現状況とメリット・デメリットを解説!」に引き続き、今回もワンオペレストランの話です。
今回は1年半経営してきたワンオペレストランで「やって良かった施策」と「今後の課題」を紹介したいと思います。
今後、少人数(もしくは1人)で飲食店を経営したい人のお役に立てば幸いです。
やって良かった施策
まずは、ランチボックス営業を1年半やって感じた「やって良かった施策」を紹介したいと思います。
6品から3品を選ぶというワクワク感の演出
カフェガパオのランチボックス営業は、
「常時6種類以上のおかずが出ており、そこからお客様に好きなおかずを3品選んでもらい、弁当箱もしくは皿に盛り付ける」
というスタイルになっています。
常連さんは「今日は6種類全部で!」なんて方もいらっしゃいます(^-^;)
この「好きなおかずを3品選ぶ」という演出はお客様にも好評で、『えー、どうしよう悩んじゃう』と言いながらチョイスを楽しんでもらっています。
つまり、選択肢があることによって“ワクワク感”を演出することができます。
このワクワク感は心理学的にも有用な効果があるといわれており、一説には『感情的報酬は、物理的報酬よりも遥かに大きな報酬になる』とも言われています。
物理的報酬=食事が美味しい
感情的報酬 > 物理的報酬
自分は、「食事が美味しい(物理的報酬)」のは当然として、それにプラスして「感情を揺さぶられるもの(感情的報酬)」があると、お客様の印象に残り『また行きたいな』と思わせる店作りができると考えています。
つまり、「物理的報酬 × 感情的報酬 = ファンになる」という公式になると思っています。
店内では皿盛りワンプレートで提供
前回も少し説明しましたが、ランチボックス営業は途中から「店内で食事をする場合は、皿盛り(ワンプレート)での提供」となりました。
それまでの弁当箱のみでの提供に比べ、店舗の皿で提供することによって、ランチボックス営業の価値が上がりました。
お客様からは『この値段でこんなに食べられるの?これは安いね♪』と喜んでもらっています♪
コンパクトにまとめられている弁当箱よりも、皿盛りの方が豪華に見まえすからね(^-^*)
オプションメニューの設置
ランチボックス営業では、以下のオプションメニューを用意しています。
- パクチー小盛 +50円
- パクチー大盛 +100円
- ライス大盛 +50円
- ライス特盛 +100円
- おかず大盛 +100円(おかず1品につき)※通常の1.5倍の量
- おかず追加 +200円(おかず1品につき)
- おかず単品 +300円※通常の1.75倍の量
これらがあることによって、「客単価アップ」が望めます。
実際、「ご飯大盛り」や「パクチー大盛り」などは人気があり、客単価アップに繋がっています。
このオプションメニューも、前述した「選択肢があることによって、ワクワク感が演出できる」に繋がっているといえます。
お盆に乗せて提供
店内で食事をする場合は皿盛りで提供するわけですが、その際「皿をお盆に乗せて」提供しています。
お盆に乗せることによって、以下の効果が期待できます。
- テーブルが汚れにくくなる → 掃除の手間が減る
- お客様が片付けをしやすくなる → セルフで後片付けをしてもらえる
- おかずを別小皿で盛った場合、お盆に乗せて一度で提供できる → 客席への往復時間が減る
ワンオペなので、テーブル掃除は極力無い方が理想的です。
また、忙しい時はお客様にセルフで片付けてもらえるので、かなり助かっています。
つまりお盆一つで「業務の効率化」を図ることができます。
カトラリー、飲み水などはセルフサービス
食事の際のカトラリー(箸やスプーンなど)や飲み水などはセルフサービスにさせてもらっています。(その分値段に還元)
セルフサービスのおかげでオペレーションが簡略化しています。
お客様も進んで手伝ってくれるので、とても助かっています♪
『店長さん、ここにお盆置いておきますね』
『あ、お水無くなったので持っていきますねー』
などなど。
これには本当に感謝しています。
皆様ありがとうございますm(_ _)m
なんていうか、こういう関係性って、ただお金を払ってもらってサービスを提供するだけの関係じゃないといいますか…
現場ではお互いの魂の触れ合いがあるように感じています。
こういう自然発生的な関係性は、自分が飲食店をやっている中で最も「素晴らしいな」と思う瞬間ですね。
ドリンクはペットボトルを販売
ランチボックス営業のドリンクは、仕入れた「ペットボトルのドリンク」を販売しています。
よく街中のお弁当屋さんも同様にペットボトルのお茶とかをカウンターで売っていますよね。あんな感じ。
『カフェ』という店名が付いているので(カフェガパオ)、本来なら淹れたてのコーヒーなども提供したいところですが、如何せんワンオペレストランのため、ドリンク提供までしてしまうと店が回らなくなります。
当初「ドリンクバー」のように飲み放題のドリンクを用意しようかとも考えましたが、ランチボックスを買って帰る人も多いし、店内の回転率にも影響してくるので、現在はペットボトルドリンクの販売に落ち着いています。
でも忙しい時間を過ぎたら、ドリンク提供もありかもしれませんね。。
物販のついで買い用意
店内では物販も行っています。(調味料やカレーペーストなど)
ランチボックス営業時も物販を行っていて、ランチボックスと一緒に買って帰る方もいます。
物販は利益率は低いものの、客単価アップに繋がっています。
飲食店では食べられる料理の量には限界があるので、「食べる以外の収入源」を作ることは大事だといえます。
なぜなら市場は飽和状態であり、外食を利用する人の数もどんどん減っているからです。(賃金が上がらないのに税金や保険料ばかりが上がる社会環境も)
うちでは飲食以外にも、物販、スマホケースのオーダーメイドサービス、ヨガ教室、料理教室、飲食店開業セミナー、スペース貸出なども行っています。
こういう「店舗の副業」は、今後業界内でも増えていくのではないでしょうか。
劣化しやすいメニューはオープン直前に調理
ランチボックス営業では、基本的には「途中でおかずを作り足す」ということをしていません。(ガパオ炒めなど一部を除く)
そのためフードウォーマーでおかずを温めている時間は、最長で3時間程になる場合があります。
なので、劣化しやすいメニューと、しにくいメニューを分け、劣化しやすいメニューはオープン直前に作るようにしています。
例えば、ガパオ炒めのような炒め物は劣化しやすいので、オープン直前に作っています。
逆にカレーなどは劣化しにくいメニューのため、早い段階で仕上げています。
このように劣化度合いによってタイムスケジュールを組み、「美味しく食べられる工夫」を行いました。
平日でもポイントカードOK
平日でもポイントカードのポイントを付与するようにしました。
一部のお客さんは『ポイントがどんどん貯まるので、今日も行こう!』と思っちゃうそうです。
ポイントカード自体が「来店動機」になっているケースは少ないと思いますが、時間潰しやコミュニケーションのきっかけにもなるので、導入して良かったと思っています。
飲食店経営者の皆様、LINE@でポイントカードを作るのはいいですよ。
特に”メルマガ”は絶大な集客効果があります!→「個人飲食店の集客方法で「自店で実際に効果があった集客ツール5個」を大公開!」
月曜日は食材が使い切れる
現在メインの営業日になっているのは、土曜日と日曜日。
土曜日はいいのですが、日曜日が売上不調だと、以前は大量の食材ロスが出ていました。
食材ロスは基本的に家族で食べていましたが、それも限界がありました…。(結局捨ててしまうことも…)
しかし、月曜日にランチボックス営業をやるようになってからは、日曜日の食材ロスは全て月曜日分に持ち越すことができるようになりました。
それ以降は食材ロスは無くなりました(^-^)v
さらに、ランチボックス営業では作る料理の総量が決まっているので、食材量の調整がしやすく、月曜日はほぼ残り食材が出ないようになりました。
もし月曜日に売れ残ったおかずがあったとしても、『フードロス営業』を行い、”完全売り切り”を達成しています。
前日余ったご飯でチャーハン弁当作成
日曜日に炊き過ぎたご飯(ジャスミンライス)は、月曜日の朝、このご飯を使って「チャーハン弁当」を作っています。
このチャーハン弁当は、ランチボックス営業時に販売しています。
それまでは家で消化したり、捨てていたものが、「価値ある商品」に生まれ変わりました。
通常850円の価値のチャーハン弁当を、前日の残りご飯を使っているという理由から500円(税込)で販売しています。
お客様にも大好評で、『えー、チャーハン売切れちゃったんだ…』と惜しむ声もよく聞いています。
※日曜日に残るご飯の量はまちまちなので、チャーハン弁当の個数もその日によってまちまちです。
チャーハン弁当を販売するようになってから、月曜日の売上も上がりました。(それまで週初めの月曜日は売上が弱かった)
ということで、以上がワンオペレストラン(ランチボックス営業)で「やって良かった施策」となります。
今後の課題
ランチボックス営業はこの1年半でだいぶ雛型が出来上がりました…
が、まだまだ課題も残っています。
売上をどう上げていくか?
2019年9月現在、平均客単価は1000円前後です。
前述した「やって良かった施策」にあるように、オプションメニューや物販などで”客単価を上げる努力”は行っていますが、さらなる売上アップの施策はないか?と、常に打開策を模索しています。
現在考えているのは「予約販売の強化」です。
例えば『ランチボックス5箱以上を前日までに事前予約してもらうと、もれなく好きなおかずを一品追加プレゼント!』など。
これができれば「まとめ買い」によって売上アップが目指せます。
なので、近所にある企業に営業をかけていくのも一つの方法かもしれません。
こちらは企業用のチラシを別途作って、販促をしていきたいと思っています。
あとは、『贅沢5種盛り』『贅沢6種盛り』などの「セットメニューを作って、客単価を上げる方法」も良いかもしれません。
※5、6種盛りの場合は、その分割引価格で販売。
意外と『わー、悩んじゃうー、全部食べたいけど…』と悩まれるお客様が多いので、こういうセットメニューがあると分かりやすいかもしれません。
売れない日はどうするか?
ここ最近は売り切れる日も多いのですが、お客様の来店数が少ない日は確実にあります。
それは「悪天候」の時。
雨はまだしも、台風や雪の時は確実に来店数は減ります。
こういう時の施策としては、『本日は悪天候により”おかず一品無料追加”します!』などの情報を、インスタグラムやLINEメルマガでお知らせして、集客力を上げています。
これでも売れない時は「フードロス営業」で夕方に売り切る方法を取っています。
上記以外の方法だと、現在うちの地域ではサービスを行っていませんが『Uber Eats』を利用するのもいいかもしれません。
Uber Eatsとは、いわゆる出前サービスの仲介アプリです。
Uber Eatsに登録した飲食店に注文が入ると、配達員がその店舗まで出向き、お客様宅まで料理を届けてくれるというシステムです。
ただ、現状だとUber Eatsを利用した場合「利益率が低くなる」ので、利益率を下げないまま利用する方法を考える必要がありそうです。
行列が出来た場合の対処法
ランチボックス営業では、時々”行列”ができる時があります。
行列ができると「売れてる店」にも見えますが、その反面『遅いなー…』と思われて、顧客満足度が低下する可能性があります。
ワンオペでやっていると、どうしても時間がかかっちゃうんですよね…。
今考えられる行列時の施策としては、
- 予めおかずを詰めたランチボックスを用意しておく。
- 注文をお客さんに書いてもらう。
などでしょうか。。
「予めおかずを詰めたランチボックスを用意しておく」は、効率は良いのですが、「おかずを選ぶ楽しみ」が無くなるので、これは若干コンセプトがずれてしまいますね…。
「注文をお客さんに書いてもらう」は、混んでいる時はいいかもしれません。
これらは今後様子を見ながら検討していきたいと思います。
ワンオペレストランで「やって良かった施策」と「今後の課題」まとめ
ということで今回は、1年半経営してきたワンオペレストランで「やって良かった施策」と「今後の課題」を紹介しました。
やって良かった施策の中で、特にやって良かったのは、「6品から3品を選ぶというワクワク感の演出」ですね。
本文中でも書いたように、「感情的報酬」は、リピートに繋がる力を持っているように感じます。
感情的報酬は、他にも色々な場面で感じ取ってもらう事ができると思っているので(例えば、ちょっとした気遣い、カスタマイズなど)、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っています。
今後の課題の中では、「今以上の売上をどう上げていくか?」という部分が、特に大きな課題でしょう。
現状だと、1日に稼げる売上には”限界値”があります。
それをどう打破していくか…。
課題でもありますが、でも同時に“やりがい”でもありますね。
「どうやって壁を乗り越えてやろうか?」と、ちょっとワクワクしている自分もいます。
これもある意味「感情的報酬」なのかも(笑)
ワンオペレストランを営業されている経営者さんは少ないと思いますが、「こうやったら売上が上がった!」「こうやったら仕事効率が上がった!」などありましたら、再度このブログにアップしたいと思います♪
今回の記事が飲食店経営者の皆様に少しでもお役に立てば幸いですm(_ _)m
前編の記事はこちら→「タイ料理弁当屋を1年半経営した結果ワンオペレストランに進化!? 現状況とメリット・デメリットを解説!」
どうもヨッシー店長です。