前回より『自宅飲食店開業を失敗しないための具体的開業手順【全17項目】』というシリーズ企画が始まりました。
今回のvol.1では、「開業計画を立てる前の前提条件」を説明していきたいと思います。
自宅飲食店の場合、開業計画を立てる前に、そもそも確認しておくべき“前提条件”が存在します。
まずは以下の5項目をクリアしているかを、しっかり確認しておきましょう!
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開業資金はどの程度あるのか?
自宅飲食店の場合、テナント店舗のように保証金や礼金などがかかりません。
そのため一般的な飲食店の開業資金よりは、“低い金額”で開業することが可能だといえます。(※自宅飲食店の規模にもよる)
ただ、部屋を店舗に変える「改装費」などが入ってくるので、開業資金はそれなりにかかってきます。
参考までにですが、既にある自宅の一部を改装して店舗にする場合は、改装費(内装費含む)だけでも300~500万円程度はかかるものだと考えておきましょう。(※300~500万円はあくまでも参考金額です)
改装費以外にも、備品費や運転資金などが別途必要になってきます。
運転資金…運転資金とは、開業当初の売上赤字分を補填しながら経営を続けるためのお金のことです。できれば半年から1年間は用意したいところです。
とにかくまずは
- 開業資金はどの程度あるのか?
- 開業資金はどの程度用意することができるか?
を、しっかり把握しておきましょう!
開業資金に関しては『日本政策金融公庫(国からの融資)』などから融資してもらうことも出来なくはないです…
が、自宅飲食店の場合は、できれば融資に頼らず開業したいものです。
なぜなら、日本政策金融公庫からの融資とはいえ、その融資は、いわば“借金”だからです。
自宅飲食店開業を希望する人には、住宅ローンなどの“借金”もあるかと思います。
そうなると「二重借金」をすることになってしまいます…。
テナント店舗の場合、空きが出たタイミングですぐに開業資金を用意しなくてはいけないケースもありますが、
自宅飲食店の場合は「既に自宅を所有している」訳ですから、融資に頼ってまで開業を急ぐことはないと思います。
『自宅飲食店で赤字が出ても、住宅ローンの返済には一切影響は出ない』という人ならいいのですが、そうでない場合はやはり自己資金を貯めてから開業するのが望ましいといえます。
借金状態で開業すると、「借金を返さなくては!頑張るぞ!」というモチベーションアップにもつながりますが、なかなか売上が上がらない時は、逆に「大きな精神的苦痛」になってしまいます。
実はこの「借金状態での精神的苦痛」は、経営者にかなりの負担をかけます。(←同業関係者からよく聞く話です)
少なくとも「開業資金の半額くらい」は、自己資金で用意したいものですね。
恐らく「自己資金を用意する」ということが、自宅飲食店経営で失敗しないための「最初のリスクヘッジになる」といえるでしょう。
自宅建設時に「あらかじめ店舗開業を考慮して施工した」ことと、「出来ることは自分でやった(メニューブックや販促物の制作など)」ことが開業資金を抑えられた理由です。
※開業資金の詳細内訳はこちらから
飲食業の経験の有無
以前もらった開業に関しての質問で、『開業前に飲食店で働いた方がいいですか?』という質問がありました。
その質問に自分はこう答えました。
「飲食業界でのアルバイト経験は必須」と。
なぜなら、「飲食業界の現場でなければ得られない経験や情報が“ありすぎる”から」です。
詳細はこちらを読んでもらえればと思いますが、飲食業の現場で得るものはとても多いです。
また自分の店舗を開業してしまうと、他の店舗で学ぶ機会はほぼ無くなります。
それらを考えると、開業前にアルバイトでいいので、飲食業界で働いてみることをお勧めします。(できれば忙しい店で)
自分の”引き出し”を増やす良い機会だと思って是非働いてみましょう。
もし『飲食店で働くのは難しい、不安だ…』という方がいましたら、うちのカフェガパオで「飲食業を体験してもらう機会」を作ります♪
よかったらお気軽にお問い合わせよりメールをくださいね。
※稀に「飲食業界の経験無しで5年以上店舗を経営している凄腕オーナー」もいますが、これは本当に稀なケースです。
家族の理解
第1回目の講座で「職場とプライベートの区別がつきにくい」ということを説明しましたが、自宅飲食店は自宅と隣り合わせなので、どうしてもプライベートに影響が出てきます。
そのため「家族の理解は必須」です。
ましてや自宅飲食店の場合は、家族に手伝ってもらうことも多々あるかと思います。
開業する前に「家族との将来」をきちんと話し合いましょう。
協力者の有無
自宅飲食店に限らず、飲食店を開業するにあたっては、周りの人の協力が必要不可欠です。(家族に限らず)
実は開業前にこの関係をどれだけ作っておけるかで、その後の経営の安定力が変わってきます。
もちろん飲食業界でのコネクションがあればそれに越したことはないですが、他にも販促関係に強い知人、WEB関係に強い知人、経理関係に強い知人などいると、色々と相談ができます。
また、職種は違っても個人でやっている経営者や、同じように自宅で開業している経営者などが知り合いにいれば、同じ悩みを共有することもできることでしょう。
でも同業者の店に通ったり、ネット上で同じような境遇の方々と情報交換をしていました。
現在ではSNSを使えばそのような人達と知り合うことも容易になったかもしれません。
でもここ最近思うのは、“リアル”で知り合いを作った方が、長い目でみると良いように思っています。
飲食業という仕事柄、実際に会って話す方が得られるものは大きいでしょう。
スキルの現状把握
飲食店を開業するにあたって、飲食業以外のスキル(獲得能力)があると、後々役立つ場合があります。
特に経営、マーケティング、経理、WEBなどのスキルがあると、自分の経験上「役に立つ」と感じています。
開業前に「自分には何ができるか」をしっかり把握し、不足していると思われるスキルはできるだけ習得するようにしましょう。
開業後は忙しくなるので、新しいスキルを習得するのは結構難しくなってくると思います。
開業計画を立てる前の前提条件 まとめ
今回説明してきた前提条件は、決して必須項目というわけではありません。
しかしながら、これらの前提条件をクリアしていない場合、自宅飲食店の”開業”はできたとしても、その後経営を”継続”していくことは困難になっていくことでしょう。
一度開業してしまうと、途中で立ち止まることはなかなかできないです。
ですので、前提条件をクリアしていない場合は、まずはこれらの前提条件をクリアした状態までもっていき、それから開業計画を立てるようにしましょう。
もしくは開業計画を立てながら、同時進行で前提条件をクリアしていきましょう。
知識や経験が加わるたびに、全ての項目をアップデートしていくイメージですね。
「机上の空論」は本当に無意味で、実際に飲食業の現場に立って得られる経験や価値観によって、開業計画はどんどん精査されていきました。
最後に今回の内容を簡単にまとめます。
- 開業資金はどの程度あるのか?→部屋を改装して店舗にする場合は300~500万円はかかると考えましょう。基本的に自己資金で開業した方がリスクヘッジになります。
- 飲食業の経験の有無→飲食業界でのアルバイト経験は必須だと考えて下さい。
- 家族の理解→家族の理解は必須です。さらに将来のこともよく話し合いましょう。
- 協力者の有無→協力者が多ければ多いほど、経営は安定する。
- スキルの現状把握→飲食業以外に、経営、マーケティング、経理、WEBなどのスキルがあると役立つ可能性大。
ということで、今回は自宅飲食店の「開業計画を立てる前の前提条件」を紹介しました。
次回は「自宅地域がどの用途地域に指定されているかを調べる」に関して説明していきます。
どうもヨッシー店長です。