
個人の飲食店が、一般的なテナント店舗で開業する場合、開業費用の平均は「約1000万円」と言われています。
1000万円はあくまでも平均値であって、店舗の規模、業種・業態などによっても大きく差があります。
そして「飲食店全体の廃業率」は、
- 1年以内:30~50%
- 3年以内:50~70%
- 10年以内:90%以上
と言われています。
開業から3年以内に半数以上の飲食店が廃業し、10年後まで生き残るのは10%程度と言われています。
つまり平均だけで考えると、
「1000万円かけた店舗が、50%の確率で3年以内に潰れる」
ということです。
あくまでも数値上の平均データですが、数100万円~1000万円以上かけて造った自分の店が
「たったの3年で潰れる」
というのは本当に辛いですよね…(-_-;)
個人的な見解では
「飲食業未経験者や飲食店初開業者は、1年以内に潰れる確率がさらに高い」
気がしています。
なぜなら何軒も出店しているプロの飲食経営者でも3年以内に潰れる可能性があるのですから…。
そんな競争の厳しい飲食業界ですが、
「10年以上継続できる(可能性が高い)経営スタイル」
があります。
それが個人的にもオススメしている
「自宅飲食店」
という経営スタイルです。
自宅飲食店であれば「潰れにくい」ですし、開業資金も「数100万円以内での開業も可能」です。
さらに、裏技を使えば開業資金を「実質0円」にすることも可能です。
今回は、自宅飲食店を開業する際にかかる「開業費用の平均額」を考えてみたいと思います。
今後、自宅飲食店を開業する人のお役に立てば幸いです。
自宅飲食店の開業資金概算
まずは自宅飲食店の開業にかかる費用を、ざっと表にまとめてみました。(あくまで目安の数値です)
初期費用(開業準備資金)
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
内装・設備工事 | 20万~200万円 | キッチン、ダイニング、トイレの改装 |
厨房機器・調理器具 | 10万~100万円 | 業務用冷蔵庫、コンロなど |
食器・カトラリー | 5万~30万円 | 皿、グラス、カトラリー類 |
家具(テーブル・椅子) | 5万~50万円 | 店内飲食用 |
看板・メニュー表 | 2万~10万円 | デザイン・印刷費 |
レジ・POSシステム | 5万~30万円 | キャッシュレス対応可能 |
仕入れ初期費用 | 5万~20万円 | 食材・飲料の仕入れ |
営業許可取得費用 | 2万~10万円 | 保健所の許可取得 |
広告・集客費用 | 0~20万円 | Web広告、SNS運用 |
その他 | 5万~20万円 | 雑費、予備費 |
合計 | 約50万~500万円 | 規模による |
運転資金(開業後の運営費)
項目 | 月額費用目安 | 備考 |
---|---|---|
食材仕入れ | 5万~30万円 | 売上の30~40%目安 |
水道光熱費 | 1万~5万円 | 季節変動あり |
通信費 | 3千~1万円 | インターネット、電話 |
広告宣伝費 | 0~10万円 | Web広告、SNS |
消耗品費 | 1万~5万円 | 洗剤、ラップなど |
配達関連費用 | 0~10万円 | デリバリー実施時 |
その他 | 1万~5万円 | 雑費・予備費 |
合計 | 約8万~70万円 | 売上規模による |
開業資金の総額は、最低でも約50万円~最大で500万円程度を見込んでおくのが一般的でしょう。
ただし、「自宅の設備をそのまま活用」できれば、50万~100万円程度で開業可能です。
さらにコストを抑える方法として、以下が挙げられます。
- 中古の厨房機器や家具を活用する
- デジタルツールを活用して集客・管理を効率化する(SNS、予約サイト、クラウド会計など)
- デリバリーやテイクアウト中心にして、店内設備費を抑える

なので、最初は家庭用機器でもいいので、「飲食事業が上手くいきそうだな」という状況になってから、徐々に機器を買い替えていくのが良いと個人的には思っています。
ちなみに、うちなんて開業から12年経った今でも、厨房機器の半分以上は「家庭用家電(冷蔵庫、炊飯器、ガスレンジ、オーブンレンジ等)」で賄っています(笑)
※業務効率を考えた場合は「製氷機」と「食洗機」は業務用の方が良いと思います。
カフェガパオ初期費用(開業準備資金)
こちら↓は実際に自店のカフェガパオでかかった開業費です。
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
内装・設備工事 | 45万円 | 追加の内装工事(奥のエリアを小上がりに改造) |
厨房機器・調理器具 | 25万円 | 家庭用冷蔵庫、オーブン付き電子レンジなど |
食器・カトラリー | 3万 | IKEAや100円ショップで皿、グラス、カトラリー類購入 |
家具(テーブル・椅子) | 30万円 | テーブルや椅子など(趣味で買っていた家具も使用) |
看板・メニュー表 | 2万円 | 販促物のデザインや印刷などは全部自分で制作 |
レジ・POSシステム | ほぼ0万円 | 開業当初はアナログレジを数千円で購入、今はiPadで『Airレジ』を使用で使用料は0円 |
仕入れ初期費用 | 5万円以内 | 最初の食材・飲料の仕入れは小規模スタート |
営業許可取得費用 | 4万円以内 | 食品衛生責任者資格の取得料、保健所の営業許可手数料等 |
広告・集客費用 | 0万円 | 自分で作ったホームページ、ブログ、SNS等を運用 |
その他 | 5万万円以内 | 雑費、予備費 |
合計 | 約119万円 | ※119万円以内 |
うちの場合は追加の内装工事(小上がりスペースを作った)に45万円程かかっていますが、その他のものは極力小額でスタートしました。
椅子やテーブルは元々趣味で集めて自宅で使っていたものを、店に寄与しました。
デザイン制作物などは、前職でデザインなどもやっていたので自力で作って用意しました。
とにかく自分でできるものは極力外注せず、自分で作りましたね。インターネット関係も。

裏技で開業費用0円も可能?
冒頭で「裏技を使えば開業資金を実質0円にすることも可能」と書きましたが、
これは本当に「可能」です!
詳細は「自己資金ゼロでも飲食店開業は可能か?●●を利用すれば可能!」という記事でも書いていますが、端的に言うと
「住宅ローンを利用すれば、開業資金0円でも飲食店開業が可能」
です。
※「自宅飲食店(店舗併用住宅)で開業する」のが前提。

通常、テナント店舗で出店する場合、「物件取得費用(保証金、礼金、仲介手数料、前家賃など)」などで数百万円以上かかってきますが、自宅飲食店はこの数百万円が「実質0円」になります。
もちろん中古物件住宅等を取得した場合は、別途「内装・設備工事」がかかりますが、それでも数百万円以上が0円になるのは、かなり大きなメリットです。
一度自宅を購入してしまえば、店舗家賃は発生しないので(住宅ローンの返済はあるが)、自宅飲食店を開業するまでに準備期間を取ることができます。

テナント店舗で出店する場合は、早く開業しないと毎月家賃がかかるので「焦って開業してしまう」こともあるでしょう。
その点、自宅飲食店は「家賃が発生しない」ので焦ることはないです。
こういう「心のゆとり」ができるのも、自宅飲食店のメリットですね。
ちなみに自宅飲食店を開業する時は、サラリーマンなどの
「本業を辞めないで、副業で開業」
することを個人的にはオススメしています。
「平日サラリーマン、週末起業で自宅飲食店経営のメリット・デメリットとは?」という記事でも書いていますが、
本業(サラリーマン)を辞めた上で、飲食店を開業するのは
「博打的要素が大きい」(一歩間違えれば自己破産)
ので、週末起業などで、ある程度「慣れ」と「常連客」ができてから独立する方がリスクを抑えられます。

しっかりした開業プラン、堅実な経営をしていかないと潰れるときは潰れます。
開業してみないとわからないことも多いので、サラリーマンの給料による「最低限の生活費」は確保しておいた方が良いですね。
※自分は、自宅飲食店のしっかりした開業プラン、堅実な経営をするための「自宅飲食店アドバイザー」の業務も行っていますので、もし気になる方はお問い合わせくださいね。(無料相談を行っています)
まとめ
ということで今回は、自宅飲食店を開業する際にかかる費用の平均額を考えてみました。
最後ちょっと脱線しましたが(笑)、自宅飲食店で開業しようと思ったら「住宅ローンを利用すれば、開業費もだいぶ抑えられる」と伝えたかった次第です。
住宅ローンは徐々に上がり続けているとはいえ、変動金利であればまだまだ1%以下の金融機関も多いですからね。
ちなみに「【2023年】住宅ローンは変動金利から固定金利に変更するべきか?を考えてみた」という記事でも書いていますが、
日本ではバブル景気はもう来ないと思うので、変動金利で良いと個人的には思っています(^-^;)
飲食店が潰れる理由は「【潰れる理由集計】飲食店経営YouTuberが語る閉店する共通項TOP10」でも書きましたが、潰れる前に
「そもそも初期投資がデカすぎる」
のが問題ですよね。
「何かを得るには、先にリスクを取る」ことは大事な考え方だと思いますが、失敗率が高くて、その後多大な借金が残るような投資は、今の時代には合っていない気がしています…。(←飲食業のこと)
今だったらITを利用すれば、初期投資はほとんどかからない状態で起業することも可能ですからね(^-^*)
なので、せめて「失敗率を下げて、初期投資を抑える」ような起業が良いと個人的には考えています。
- テナント店で開業:廃業率が高い、初期投資が高額
- 自宅飲食店で開業:廃業率が低い、初期投資が低額
自宅飲食店は開業費が低く抑えられるため、その分を他の費用(内装費、厨房機器費、宣伝広告費など)に充てるのが良いでしょう。
今後、自宅飲食店を開業する人のお役に立てば幸いです。
どうもヨッシー店長です。